国会通信 No.690

  【「良質な政府」論】

2006/2/6 (マンデーレポート690の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 「小さな政府」よりも「良質な政府」をめざせ。 【2】 山口教授の講演要旨。 【3】 先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 「小さな政府」よりも「良質な政府」をめざせ。 ●2月2日(木)「小さな政府vs大きな政府研究会」の  第2回勉強会を開催しました。集まりづらい時間でしたが  20名を超える多くの議員が参加しました。 ●当日の講師は、立教大学の山口義行教授先生。民主党の  方向性について大変参考になる意見を聞かせていただきました。  ご講演の要旨は【2】をご覧ください。 ●私は、かねてから「小さな」「大きな」といった、量的な比較  はあまりよくない、むしろ、市民の立場から見て、質が良いか  どうかといった質的な比較をすべきなのでは、と考えてきました。  「小さな政府」よりも「良質な政府」を目指すべきであるとの  私の持論と山口先生の考え方はほぼ一致しており、とても  うれしく感じました。  さらに、吉川先生先生の講演の最後に語られた、民主党に対する  3つの戦略的な課題はきわめて示唆に富む提言だと思います。  第1は、「安全・安心を考える国民会議」の設置  第2は、「中小企業立国宣言」  第3は、金融利得や金融資産についての課税改革  の3つです。 ●第1の「安全・安心を考える国民会議」は、安心や安全についての  市民の不安に直接答えつつ、市民側の政策提案の受け皿となるためのものです。 ●第2の「中小企業立国宣言」は、EUの小企業憲章にならって、  日本経済の将来性は、分厚い中小企業層にあうことを宣言し、中小企業政策を  民主党の中心政策に位置づけることにつながります。さらに中小企業省の設置、  中小企業担当大臣の設置などの提案に発展します。 ●第3の「金融利得、金融資産についての課税改革」は、たとえばデイとレーダーの  ように、新しいネット市場で巨額の利益を上げながら、税金の補足が不十分な現状に  早急な改革を加えるためのものです。 ●いづれにしてもとても参考になるご提言を頂きました。これをなんとか  今後の民主党政策に反映するよう努力したいと考えます。 【2】 山口教授の講演要旨。 「小さな政府vs大きな政府」研究会における、立教大学教授 山口 義行さんの レジュメをもとに簗瀬作成。 ■ 大きい、小さいよりも「良質な政府」を目指す改革を!  第1 小泉流「小さな政府」改革の「危うさ」と「あやしさ」 T 小泉改革を支持する考え方の「危うさ」 A 日本は今「大きな政府」である、といった現状認識の「危うさ」。 ●小泉流の「小さな政府論」は以下のような考え方にたっている。  =現在の日本は「大きな政府」。  そして、   @ 「大きな政府」ゆえに国の借金が多額で将来が心配。   A 「大きな政府」ゆえに非効率で経済や社会の活力が低下。  このような二つのマイナスを解決するための「小さな政府」に近づけ  ていく必要があるとするのが、小泉改革のベース。  しかし、この考え方は誤り。 ●まず、現状認識が間違っている。  日本の現状自身すでに比較的「小さな政府」。          ↓ 参考 OECD諸国の政府支出 比較 (2004年) 一般政府支出の規模では28か国中23位。(※) 政府支出の規模は先進国の平均以下であり、 とても大きな政府とは言えない。 (名目GDP比で 58%のスウェーデンが1位、37%の日本は23位。  35%のアメリカが26位、28%の韓国が28位。  ユーロ平均は49%、OECD平均が41%。)          ↓ このことは、政府自身もすでに認めていること。 (17年度経済財政白書)          ↓ ●もともと「小さな政府」である日本の現状を「改革」して、  さらに「小さな政府」にすれば、どうなるか。  =国民に対する新たな危機。  政府は国民のニーズに応えられなくなり、  政府不信が一層増大して適正な負担を国民に求められなくなる。  さらに格差拡大やセーフティーネット(「安心・安全」)の崩壊など  新たな社会問題を発生させる。 B 社会保障費の急拡大が、「大きな政府」にしてしまう。 今こそ「改革」が必要だという論議の「危うさ」。 ● 社会保障「亡国」論は誤り。 厚労省が予測した2025年度社会保障給付費でも、 現在の英国の水準より低く、独の7割程度。  また、医療費の現状は先進国(イギリス除く)中最低。               ↓ 4000万人無保険者の米国、100万人入院待機者の英国に近づけろ  = 「危うい改革」  (参考 社会保障給付費比較  日本は2004年度 他は1998年度)            日本  米  英   独   仏 スウェーデン  (対国民所得比)        年 金  12.5%  8.4% 14.4% 16.6% 17.6% 14.3%      医 療   7.0%  7.4%  7.3% 10.5% 10.1%  9.3%      福祉等   6.0%  2.8% 11.5% 12.3% 13.2% 24.2%  社会保障給付費  20.4%  18.4% 33.2% 39.4% 40.9% 47.8%  (対GDP比)      年 金   9.0%  6.8% 11.0% 12.3% 12.7% 10.2%      医 療   5.5%  6.0%  5.6%  7・8%  7.3%  6.6%      福祉等   2.5%  2.1%  8.8%  9.2%  9.6% 17.3%  社会保障給付費  17.0%  15.0% 25.3% 29.3% 29.5% 34.1% U 小泉流「民営化」路線のあやしさ = 「見せかけの『小さな政府』改革」 A. 郵政民営化は財政支出削減効果ゼロ、資金の流れも変わらない  1990年代、民間の銀行は「民」への融資を160兆円減少させたかわりに 「官」へは150兆円増→仲介機関が民営かどうかということと資金の流れは 別問題 = 「見せかけ」だけ。 B. 政府系金融機関を民営化しても財政支出削減効果ゼロ、 資金の流れも変わらない。 2機関はもともと「民」への資金仲介であって、 「官」から「民」へ資金の流れが変わるわけではない。 =「見せかけ」だけ。 第2 「良質な政府」を目指して――3つの「至上主義」から転換せよ T 正しい現状認識に立つ。  日本は「借金の大きい、小さい政府」→なぜ、こうなったか。  国民のニーズに対応していないため、支出は小さくても、 負担を求められない。    国民ニーズと政府支出のミスマッチ ←改革すべき問題はここにある! 参考 高福祉・高負担のスウェーデンでも財政は黒字。 要するに問題は、支出と負担が適合しているかどうかが問題。 「大きい」「小さい」という議論と財政問題は別物。 U 目指すべきは「良質な政府」   良質な政府とはなにか?   @国民のニーズに適切に対応した支出が行われている。   A借金に大きく依存していない (@がAを可能にする) V 3つの「至上主義」から転換せよ A. 経済成長至上主義からの転換 ―安心で快適な暮らしの実現が経済を成長させる まずは「成長」それらから「生活」という古いイデオロギーが 社会保障費亡国論を生んでいる。         ↓  しかし、ポスト工業化時代といわれる今日ではむしろ・・・ 生活の質の向上が経済を成長させる。(北海道伊達市に学べ) →高齢者誘致・・住宅化率全国第1位   生活支援に直結する財政支出は国民の負担についての理解 を得られやすい。 生活関連産業の創出が税収を増加させる。とりたてて 強力な産業がない地方の経済を活気付け、地域間格差の 縮小につながる。 B. 大企業至上主義からの転換 ―中小企業立国で格差の緩和と経済再生を両立させる。 地域経済の活性化にとっても低所得層の生活向上にとっても 中小企業の活性化は不可欠。     ↓ といわれながらも日本では中小企業の政治的地位は著しく低く、 政策決定に中小企業の声は届かない。 経済財政諮問会議に中小企業の代表なし。中小企業担当大臣なし。 中小企業省なし。民主党のNCにもいない。 国会議員は中小企業のためにどんなにがんばっても担当大臣にはなれない。 →「国防省を」という与党に対して「中小企業省を」という野党、という 構図になったばあい、国民はどちらに賛成するだろうか。 C. 市場至上主義からの転換―人間が主役の市場経済を確立する 市場原理主義の問題点を共通認識にして、アセスメント(評価)制度などの 活用によって、市場メカニズムと市民生活との調整をはかる。 →少ない政府支出で望ましい結果を、市場原理を活用して達成する。 民主党はすでに金融アセスメント制度を提案している。   人間のために市場があるのだ!市場のために人間があるのではない。 W 検討すべき当面の戦略課題 @「安全・安心を考える国民会議」の設置 A「中小企業立国」宣言――EUでは小企業憲章・中小企業層の受皿として 民主党がなるため B金融利得・金融資産課税改革(キャピタルフライトとの関係の研究) 【3】 先週の主な活動 ■1月30日(月) 08:00 第689回マンデーレポート 09:30 法律相談 15:00 請願受付(全建総連・石綿対策全国連絡会議) 18:00 鳩山幹事長と打合せ 19:00 翔進会新年会 ★東京後援会の今年の活動について相談。  ビジョン2025(勉強会)の次回講師は、  高校の尊敬する先輩、ファミリーマートの高橋商太さん。  テーマは「コンビニ業界から見た日本経済」に決まりました。 ■1月31日(火) 11:00 民主党法務部門会議「死因究明制度小委員会」 ライブドア関係でも注目されている野口さんの死因。 司法解剖が行われず、死因が明確にされぬまま荼毘(ダビ) される死体がとても多いのが日本の実態。 このことが、ここでも問題となっている。 昨年以来、細川律夫小委員長のもと、民主党は 死因確定機関の設置を含め死因究明制度の確立のために 検討を続けている。細川さんも、沖縄の問題を含めて、 この問題を予算委員会で取り上げるとのこと。大いに 期待したい。 11:30 玄葉幹事長代理と懇談。 18:00 連合栃木宇河地協「2006年新春賀詞交歓会」 ■2月1日(水) 08:00 民主党法務部門会議 10:30 民主党公務労働政策議員懇談会勉強会 12:00 国対・理事合同会議 ■2月2日(木) 17:00 「小さな政府vs大きな政府研究会」勉強会 (上記【1】、【2】参照) 19:00 「日本の歴史リスクを乗り越える研究会」懇親会 ■2月3日(金) 08:00 情報通信政策研究会勉強会 10:00 立正佼成会宇都宮教会節分際 14:30 議員総会 15:00 本会議 ■2月4日(土) 18:00 章友会新年会 ■2月5日(日) 10:00 大垣たかし下野市長選挙出陣式。 14:00 栃木県交響楽団第80回定期演奏会 17:30 第22回山崎正信新春の集い 18:00 全建総連栃木建労宇都宮支部新年会