国会通信 No.691
【インクス革命】
2006/2/14 (マンデーレポート691の要旨)
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【1】 インクス革命!
【2】 概念特許を認めるべき。
【3】 先週の主な活動
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【1】 インクス革命!
●知財トップヒアリングの第5弾として、2月9日、大田区蒲田の
株式会社インクスの金型工場を訪問しました。工場というよりも、
大学の研究室といった感じ。油や汗のにおいはまったくなく、未来の
実験工房といった印象。そしてお話を聞かせていただいた山田眞次郎
社長は、独創的な会社経営者というよりも、深い思索に基づく
哲学者のような感じ。インクス革命とまで言われる山田社長の創造の
核心は、凄まじい論理学というか、分析と再構成の緻密な連続の結果
なんだなと感じました。
まずは、お忙しいお時間を割いて詳細なご説明をしていただいた
山田社長さまはじめ、スタッフの皆さんに心から感謝申し上げます。
●山田社長は49年広島県生まれ、74年青山学院大学理工学部を卒業し、
三井金属鉱業株式会社に入社しました。同社では、自動車用ドアロックの
設計に従事、88年には、デトロイト支店の初代所長として訪米しました。
●当時、米国では3次元CADエンジニアリングが図面を描かずに直接
立体データを形成する手法が主流になりつつありました。
光造形装置(自動的に液体に紫外線データーを当てて液体を固まらせ、
45分で試作品が完成)と粉末造形装置(プラスチックの粉末にレーザーを当てて粉末を
固まらせ、3日で試作品が完成)の併用によって、
図面なしでものづくりが進んでいく状況を見て、激しい衝撃を受けると同時に
新鮮なひらめきを受けます。90年には会社をやめて株式会社インクスを設立。
以来、あらゆる開発工程は短縮できるとの考えのもと、
「プロセス・テクノロジー」という工程分析手法を独自に開発、
金型製造と工程短縮の分野で斬新なビジネスモデルを創造してきました。
●山田社長のお話のうち、すごいなと思った点をいくつ紹介します。
1 「自動車と携帯の間に日本の産業が全て入ってくる」、といった
日本の産業全体についてのマクロなとらえ方。
2 現代の消費者の消費性向が短期間で変わることを前提(※)に、
製造過程における「垂直立ち上げ、垂直降下」を真剣に考案したこと。
(※)山田社長の話では、
携帯は発売から3ヶ月で販売数が3分の1になり、
自動車に関しては、3000台以上売れた車種では、8ヶ月で2分の1に。
したがって、在庫をもっとも豊富に用意しておかなければならない時機は
販売開始直前であり、また消費性向が急激にダウンするのを見越して常に
連続的な新規開発が不可欠となる。いづれにしても、すべての製品の
ベースである金型製造にかける時間はてきるだけ短縮する必要性に
迫られることになる。
3 「プロセス・テクノロジー」という独自の工程分析手法を考え出したこと。
垂直立ち上げ、垂直降下の要請に対応するための工程短縮手法。
@標準化、A工程分析、B新工程構築、Cネットワーク化の4つからなる。
@機能部位の標準化
同じ機能が求められる部位は、その形状をできるだけ同じにする。
標準化すればいくつも金型を作る必要はない。
そして、デザイン面以外の全ての形状は、標準化できる。
A工程分析手法
「1Process − 1Decision」という概念。
一つの意志の決定があるところに、一つの工程を作る。
人間の判断(Decision)が入る一つの作業を1Processと定義、
全ての工程を細分化していく。
一つの判断を実行に移すことで、それに続く作業が途切れることなく
実行できる仕組み。
これにより、携帯電話では金型の1000工程のうち、
40%はコンピューター化でき、
50%はアルバイト(標準化、マニュアル化)による対応が可能になり、
残り10%がベテランの判断となる。
達人の技の90%は未熟練者に委ねることができる。
そして、従来
携帯電話の金型製作工程に45日間要していたのが45時間まで短縮可能に。
B新工程構築
細分化された一つ一つの工程にどのような情報が流れ、また流れ出ていくかを分析する。
一つの工程に必要な情報(インプット)とその結果、出力される情報(アウトプット)
を明確にし、そのインプットとアウトプットをつなぎ新たな工程を構築する。
その際、意志の決定の分析が重要。
Cネットワーク化
「1Process − 1Decision」で細分化された工程を可視化したものが工程表。
ひとつひとつの工程を数え上げるとその数は携帯電話でも3万くらいになる。
この工程表に組み込まれた全ての工程をネットワーク化し、一元管理する
必要がある。インクスがこの統合管理のために開発したのがファラオという
システム。
【2】 概念特許を認めるべきである。
●山田社長の話してくれたインクスのビジネスモデルには、かなりの知的興奮と
感動を覚えました。
特に「ワン・プロセス ワン・デシジョン」という分析のベースになる考え方は、
革命的な発想だと思います。このコンセプトに行き着いた結果、初めて、
膨大な工程も緻密に分析され、そしてコンピューターの超高速・大量処理の
手法に乗せることができるようになる。その結果として名人の技の9割が
マニュアル化できるようになった、この発想はすごいと思いました。
そして、それを丹念に追い詰めていく思考の粘着力にも限りない畏敬の念を
持ちました。
●今インクスは、自ら開発したさまざまな新たなビジネスモデルについて
日米双方に特許申請しようとしていますがアメリカはともかく、日本での
特許権の認可の道はかなり険しそうです。なぜなら、日本の特許法では
いわゆる「概念特許」の道がかなり狭いからです。
●わが国の特許法は、特許の要件として、「新規性」と「有用性」を要求しています。
したがって、新しい「物」を作り出したわけではなく、新しい「考え方」いわゆる
「概念」を生み出しただけでは、特許権は与えないということになる。
●よく引き合いに出されるのは私も好きな「イチゴ大福」です。
今では珍しくもなんともありませんが、「すっぱい」イチゴと「甘い」あんをはじめて
結びつけた人は偉いと思いませんか。しかし、その人は、イチゴも餡も自分で作り出し
たわけではない。だから新規性がないので特許とは認めない。
これがいわゆる概念特許の問題なのです。
●これを広く認めるのがアメリカ。背景には、「発明」のみならず、「発見」についても
特許を認めるアメリカの特色がありますが、コンピューターの本質的な特性を認識し、
さらに膨大な試行錯誤を繰り返したインクスの仕事を、イチゴ大福や消しゴムつき鉛筆
と同じように考えるのはあまりにも問題です。
●私自身、まだうまく説明できませんが、たとえば、発想自体が新たな付加価値を生
み出したり、概念自体が独自の創造性を有していたり、概念によって既存の有用性が飛
躍的に上昇したりなどといった場合には、新規性・有用性を認めうるのではないかと思
います。そして、その場合は特許の対象としてよいのではないでしょうか。なによりも
、それが国益にかなうと思います。
【3】 先週の主な活動
■2月6日(月)
08:00 第690回マンデーレポート
12:00 故亀田順様告別式
17:30 連合栃木2006春季生活闘争「なんでも労働相談ダイヤル」キャンペーン・
街頭宣伝行動で民主党を代表して演説。
■2月7日(火)
10:00 民主党第三回インターネット選挙活動調査会
11:30 政権交代を実現する会勉強会
★ 評論家 森田実氏の講演を聞きました。
19:00 亀山郁夫氏と懇談。
★ 東京外語大学の教授であり、ロシア文学者の亀山郁夫さんは
高校の先輩。ドストエフスキーの評論のみならず音楽評論の分野でも
めざましい活躍ぶりの亀山さんと懇談する機会を得ました。
設営の労をとっていただいた木村謙弁護士や名刹祥運寺の安藤住職
とともに談論風発、ショスタコービッチから、ワーグナー、ベートーベン
そして般若心経に飛躍するなど、芸術論から宗教論まで、とても
楽しいひと時を過ごさせていただきました。
亀山さんは、現在「カラマーゾフの兄弟」の新訳に取り組んでいる
とのこと。高校のとき、読むほどに理解できなかった未踏峰に再び
挑戦したいそんな気持ちがわいてきました。お付き合いいただいた
皆様に感謝申し上げます。
■2月8日(水)
08:00 民主党総務部門・公務員制度改革等調査会合同会議
09:00 民主党法務部門会議「死因究明制度小委員会」
10:00 若林正俊先生面会
12:00 国対・理事合同会議
15:30 参議院憲法調査会幹事懇談会
★昨年暮れに行われた海外調査の報告について論議。
16:00 中嶋特許庁長官面会
■2月9日(木)
09:45 株式会社インクス視察
★知財トップヒアリングの第5弾として大田区内にある
株式会社インクスの工場を訪問、山田眞次郎社長のお話を
聞かせていただきました。(参照 上記【1】)
13:30 民主党憲法調査会役員会
★まず、12月中までに国内11ブロックで憲法対話集会(仮称)を
おこなうことを決めました。つぎに、昨日、自民党の参議院の若林理事
から話のあった国民投票法案についての自、公、民の3党による協議の
仕方について議論しました。結論としては、3党の話し合いについては
歓迎するものの、国民から見えるオープンな場での論議が望ましいとして
当面見送ることとなりました。
■2月10日(金)
09:30 議員総会
★国民投票法案についての民主党大綱案についての勉強会を近日中に
行う予定であると報告しました。
10:00 本会議
■2月11日(土)
13:00 佐野千嘉子さん(佐野申治氏ご長女)令嬢披露宴。
■2月13日(月)
11:30 ファミリーマート開発本部 訪問。
★開発本部長の高橋商太さんは、高校の先輩。コンビに業界から
みた日本経済の現状について現地調査を行いました。とても刺激的
かつ最新の興味深いお話を聞かせていただきました。高橋さんは、
次回の「ビジョン2025」(私が主催する勉強会)の講師の予定者。
その事前打ち合わせの意味もありました。とにかく、今週は、
ロシア文学者の亀山さんに始まり、インクスの山田さん、そして
ファミリーマートの高橋さんと、それぞれ強烈に知的好奇心を刺激
されるお話を聞かせて頂きました。ありがとうございました。