国会通信 No.695

  【日銀 量的緩和解除】

2006/3/13 (マンデーレポート695の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】日銀 量的緩和政策の解除。 【2】長谷川慶太郎氏の「デフレ論」。 【3】窃盗罪に罰金刑が。 【4】先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】日銀 量的緩和の解除 ●日銀が5年間続いた量的緩和政策の解除を正式に決定した。  与党は、昨今の景気回復を小泉改革の成果と強弁する。  しかし、私は異なる認識をもっている。一つは単なる景気循環であり、  もう一つは異常な金融緩和政策の成果でしかないと思う。 ●公定歩合ゼロ、世界に例のない超低金利で国民の貯蓄には  金利もつかない状況が5年以上も続いた。いうならば、国民生活  の犠牲の上で、ようやく景気が上向いて来たに過ぎない。 ●小泉改革の成果であるというなら、たしか新規雇用500万人増大策  などといった公約の結果がどうなったか明らかにしてほしい。  小泉政治のどの政策が、具体的に景気回復にどんな貢献をしているのか、  そんな明確な説明は一切なし。 ●当面日銀はゼロ金利の状況は変えないとしているが、  これからは経済全体が金利上昇についてのタイミングを緊張しながら  見極めていくことになるであろう。 【2】「デフレ恐れるにたらず。」長谷川慶太郎氏の話。 ●政権交代を実現する会の勉強会でも、今後の日本経済の将来的な  見通しについて様々な立場の講師をお呼びし、話を聞いている。  先週の3月7日は国際エコノミストの長谷川慶太郎氏を講師に招き、  「日本のデフレは終わったか」というテーマで話を聞いた。 ●長谷川先生の話の要旨は、   「世界の構造は、政治、経済、軍事ともにアメリカの一極支配が確定した。   今後は世界を巻き込む大戦争は起こらない。インフレの最大の懸念は   地上から消滅した。さらに、世界の発展途上国から、長期間に渡って   安い人件費が市場に参入し続ける。さらに、アメリカの巨大市場は、   金融・証券・商品の3つを結合した巨大市場として、世界を確実に   支配し続ける。これらの事情を総合すれば、デフレは今後とも   長期間にわたって続いていくと考えるべきである。」   「しかし、デフレは恐れる必要はない。19世紀後半にも、似たような状況が   世界にはあった。いわゆるビクトリア朝の時代。パックス・ブリタニカの時代   である。デフレの時にしか、世界的なインフ×整備の大事業は起こせない。   パナマ運河の開通やスエズの開通など、巨大な世界的インフ×整備の大事業は   こうして起こった。さらに鉄鋼や電力等の基幹産業が、技術革新の成果もあいまって   驚異的な発展をしたのもこの時代であった。デフレ恐れるに足りずである。」   「21世紀の新たなデフレ時代。特に世界全体の巨大なインフ×整備を考えたときに   日本は多くの優位性を持っていることを自覚し、自信をもって進むべきである。」 ●日本の将来についてのかなり楽観論を展開なさっていたが、その話の要点は  以下の通りである。 ■長谷川慶太郎先生の講演メモ(文責 簗瀬進) 《今後の世界経済展望》 ・デフレは終わっていない。もっと長期化する。百年続く。 ・アメリカの優位「軍事力」「経済力」「政治力」は続く。  一極支配が続く ⇒ 大規模な戦争は起こらない ⇒ インフレはない   ⇒ 中・印、安い人件費をバックに参入 ⇒ デフレの長期化 ・世界史的に見ると長期にわたる大きなデフレは2回あった。  今回はその2回目。 ・1873〜97(24年間)が第1回目  デフレは規模縮小をもたらさなかった。  鉄鋼40倍・・・イノベーションによる解決しかない。  電力業が生まれたのもこのとき。  新技術、新産業。  独仏戦終結から1914年第1次大戦まで戦争はなかった。 ・20世紀・・・第1次、第2次、冷戦 3つの戦争  国家総力戦―敗北したところは政治体制が変わる 《アメリカの優位性》 〈世界の金融センター〉 ・1%→4.5%短期金利を14回引き上げ。しかし長期金利に変化なし。  長短の分離・・・今までの常識を超えた状況 ・巨大なニューヨーク市場  株式の取り扱い件数  NY    5,000万件  東証   500万件      NYの東証やヨーロッパにもない特徴  商品、証券、金融・・・NYでは垣根なし ⇒ アメリカの経済力の源泉  EX)野村とメリルリンチの比較。  メリルリンチは証券だけではない商品相場でも巨大な力を持っている。 ・短期金利引き上げ・・・世界中から金が集まる  デフレ 個人でも法人でも金が集まっている。  運用先がない ⇒ 最後はNY市場に集まる。だからアメリカは強い。  NYの世界の金融センターの存在が大きい。 〈強い政治力〉 ・エネルギー産業再建基本法 アメリカのNY大停電10日後に作った  その迅速かつダイナミックな対応力は驚異的。   同法のポイントは@〜C   @原発 30箇所  ALNG 移入基地増設4〜30   B精油所の新設   C車の燃費対策  水の管理 実は陸軍工兵隊の所管。 運河 港湾 ミシシッピー  アメリカの政治力を上回る国が現れない限りデフレは続く。  そしてこれは日本にとっても強い追い風である。 《日本の優位性》 @ 技術   低賃金の国に対する最も大きな対抗力。   特許の国際貿易は92年以来、黒字基調。   さらに96年からは米独に対しても黒字に転化。   現在8000億の黒字。   また対米 5300億(入) 3700億 (出)となっている。   研究開発費 3.1%(GDP比)   ちなみに2.7%(米) 1.7%(中) 2%(独)である。        A強大な機械工業   Ex) 工作機械は世界シエア24%。      ちなみにNC(数値制御)付だとさらに高く57%になる。   Ex) GM ロボット 324台 全部日本製。      維持のために毎年1億ドル以上支払       Bアメリカとの同盟   世界の基軸(自由世界を支える)   このことはさらにデフレの中で浮き彫りになる   NYの存在・・・双子の赤字があっても問題にならない。 《日本の活躍の現状》 世界の巨大インフラ整備に日本は欠かせない。 ・エネルギー  ロシア最大の供給国  Ex) EUの40%をロシアが供給。  バルト海の海底を通す全長6700kmパイプライン昨年スタート、  天然ガス  一兆ユーロ、  シュレーダー前首相がパイプライン会社の代表  海底に通す直径1.5mのパイプライン。  ⇒ パイプを作るのは日本だけ、腐食しないパイプ ・橋・・・吊橋、シチリア島とイタリア、チュニジア、デンマークとスエェーデン ・アジアのパイプライン    ・雲南 ビルマ全長1100km     東シベリア・・・ナホトカ3200km ・LNGの移入基地・・・ノウハウは日本の蓄積が世界一。  日本は世界1億1千万トンのうち8000万トンのエネルギーを輸入  ⇒ 先進国  日本からの技術の資材、機材が不可欠 ・デフレの時しか大規模なインフレの整備はできない。  スエズもパナマもシベリア、米大陸横断鉄道もデフレの産物 《デフレと政治》 「売り手に地獄、買い手に天国」  それがデフレ  有権者の多数は売り手ではなく買い手である。  日本の政治は長い間「売り手」のためのものだった。  Ex) 農水省 ⇒ 売り手の立場    ここに野党の課題がある。  Ex) 買い手 アメリカの農業は売り手  Ex) 建築認可・・・買い手の立場に移管しつつある 【3】 窃盗罪に罰金刑が。(刑法改正案) ●先週の法務部門会議で今国会に提出予定の法案のうち  刑法改正案のヒアリングを行った。  特に窃盗罪に新たに罰金刑が導入されることになったので  その内容を簡単に紹介する。 ●近年、窃盗罪(特に万引き事犯)や公務執行妨害罪の検挙件数が著しく増加している。   ・・・過去10年余りで、成人の万引き事犯は2倍以上      公務執行妨害罪は3倍以上 ●業務上(重)過失致死傷罪について法定刑の上限一杯の罰金50万円が  が科される事件の割合が増加している。  (致死罪の言い渡しを受けた者の40%以上が罰金は「50万円」だった。) ●以上の傾向を踏まえて、以下の改正内容とした。 (1) 窃盗、公務執行妨害及び業務上過失致死傷の法定刑の改正 ○ 窃盗罪           → 罰金刑の新設(50万円以下) ○ 公務執行妨害・職務強要罪  → 罰金刑の新設(50万円以下) ○ 業務上・重過失致死傷罪   → 罰金刑の上限の引上げ(50万円→100万円) (2) 略式命令で科すことのできる罰金の限度額を引上げ ○ 50万円 → 100万円 【4】先週の主な活動 ■3月6日(月) 13:00 若林正俊参議院議員(参議院憲法調査会の自民党側筆頭幹事) ★憲法調査会(参議院)の今後の活動について協議。  まずは、調査会のままでの活動を継続すべきこと。そして  その際の論点整理のための懇談会を今月中旬ころに開催することで一致。 ■3月7日(火) 08:00 第694回マンデーレポート 11:30 「政権交代を実現する会」勉強会 ★国際エコノミスト長谷川慶太郎先生の講演を聞きました。 (上記【2】参照) 12:00 第3回少年法「改正」法案問題点の解消を求める院内集会 13:40 請願受付(ハイタクフォーラム) 17:00 民主党教育政策議員懇談会設立総会 17:30 法務委員会懇親会 ■3月8日(水) 08:00 民主党法務部門会議 ★内閣提出法案について法務省をヒアリング。(上記【3】参照) 11:00 民主党選対委員長ヒアリング 11:30 武道議員連盟総会 12:00 国対・理事合同会議 12:30 法務委員会理事懇談会 ■3月9日(木) 08:00 民主党建設労働議員懇談会総会 08:00 民主党公務員制度改革等調査会 10:00 行政改革PT ★政府提出法案をヒアリング。  今国会の最大の目玉法案と言うふれこみ。  しかし、単なる公務員減らしの数合わせだけであり、  官民の仕分けについての明確な根拠をもった基準が完全に欠落していることが  最初のヒアリングから明確になった。これでは全く評価できない。 12:00 参議院法務委員会理事会 12:10 参議院法務委員会 ■3月10日(金) 09:30 民主党議員総会 ★新しく国対委員長になった渡部恒三衆議院議員が挨拶。  二大政党制確立のためにがんばること。民主党という政党よりも  政権担当可能なもう一つの政党を作ることが大切なんだと挨拶。  政治を志す50年前、早稲田大学の大学院の講義の思いでも披露した。  労働党政権が政権交代の結果、初めて誕生した前後の困難な状況を  話してくれたことがとりわけ印象に残った。 10:00 参議院本会議