国会通信 No.706

  【共謀罪法案 継続審議へ】

2006/6/6 (マンデーレポート706の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】共謀罪法案と外務省。 【2】共謀罪法案 継続審議に。 【3】先週の主な出来事 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】共謀罪法案についての外務省担当者との論議。 ●5月30日(火)、民主党法務・外務防衛部門合同会議が開催され、  共謀罪法案についての外務省担当者との議論が行われた。 ●この法案についての、民主党の修正案の最大のポイントは以下の2点。   1 共謀対象の犯罪を「国境を越える犯罪」に限定する。     (=「越境性」)   2 対象犯罪を「5年を超える犯罪」に限定する。 ●私は、この2点を条約の解釈上読み込めるはずだと主張。  共謀罪法案のベースとなっている条約の英文の意味を  改めて確認しながら、越境性、5年超の修正を加えても  条約違反にはならないと訴えた。 ●しかし、外務省担当者は、やはり頑強にこれを否定した。  頭の固い外務官僚たち。国連の優等生になることしか考えていない  エリート集団。彼らは、条約の文言の形式的な解釈を一切  崩そうとはしない。共謀罪をめぐって、外務省との不毛な議論を  すでに3年以上積み重ねてきた。しかし、やはり変わらない。  日本の司法秩序を維持することよりも、国連からの「お達し」  に従うほうが大切のようだ。 ●腰の据わらない法務官僚たち。かつての、法務官僚には、  法と正義の担い手としての気概を少しは感じたものだ。  しかし、昨今の法務官僚からはそんな気迫は感じない。  経済法の分野では財務・通産官僚に牛耳られ、  国際法関係では外務官僚のなすがまま。 ●未決の代用監獄収容率は20年前は70%。しかし、なんと  いまや98%を越えている。小菅の拘置所に収容される被疑者は  2%未満の「エリート」と囃される。捜査と留置の分離などは  遠い昔の夢になりかけている。この間、警察はせっせと代用監獄の  増設に励み、法務省は拘置所の増設を怠ってきたことの惨めな  結果である。刑事法務の所管大臣は、法務大臣ではなく、  国家公安委員長・警察庁長官である。 ●話を共謀罪に戻す。共謀罪の取り組みの背後で、もっとも高い  ハードルを維持し続けたのは外務省である。条約の形式的な解釈に  こだわり、日本の刑法の基本的原則を守ることなどにはなんの関心も  持たない。当然予想したことだったが、そのかたくなな姿勢をこの日も  再び確認することになった。 ●もし、外務省・法務省に本気になってこの国の刑事司法の根幹を  維持しようとする気があるなら、条約の中には、いくらだって手がかりとなる  材料は見つけられるはずである。たとえば「fundamental  principles」という文言である。 ●何条だったか思い出せないが、条約の中には、その国の「ファンダメンタル・プリ  ンシプル」(直訳すると「基本原則」)を尊重するとの文言がある。  私はこのことの意味を外務省担当者に問いただした。担当者は、これは  「憲法」に抵触するような場合のことを言うのだと説明し、共謀罪の議論には  直接的には関連しないと答えた。 ●しかし、それは間違っている。共謀罪を認めるかどうかということは、  まさにわが国の基本原則にかかわる話なのである。そして、それは憲法19条の「内心の  自由」とも密接に関連する大原則なのである。外務省の法案担当者はそのことを全く理  解しようとはしない。 ●テロ対策についての国際的な連携は重要である。しかし国際協力は、  まず参加各国の刑事司法が円滑に動いていることが前提である。  わが国の刑事司法の根幹を揺るがせ、司法秩序に大混乱をさせて、  国際的な連携など出来るはずがない。このことを、外務省の担当者に  申し上げたが、耳を傾ける気持ちはないようだ。 【2】 共謀罪法案  継続審議に。 ●6月1日(木)、しばらく事務所来訪がなかった、法務省寺田民事局長  から面会の申し出があり、面談。衆議院法務委員会で、民主党の修正案を  自公が丸呑みしそうだといった情報がもたらされた。寺田さんは、法案の  成立を見越して、その後に信託法改正案をなんとかしてほしいと打診して  きたのである。気の早いことだ。私は、共謀罪が、参議院に送られてきて  も、相当長時間の審議をするつもりだから、信託法改正案までは、とても  無理でしょうと話した。 ●実は、丸呑みの可能性の話は、2日ほど前から、流れてはいた。うわさ  は現実になったようである。この日は、各方面から情報を収集することに  全力をあげた。 ●6月2日(金)10:00 参議院本会議。  会議直前、自民党法務の筆頭理事谷川議員の席に行き、昨日の  衆議院法務の民主案「丸呑み」について感想を聞いてみた。  谷川さんは「事前に何の相談もない。むちゃくちゃや。」と  率直な話し。「そのとおりですよね。参議院に来たら、  一緒に廃案にしてしまいましょうよ」と私。直後、谷川さんに  握手を求めたが、扇議長が現れたので自席にもどった。 ●同日11:00 民主党法務部門緊急会議が院内で開催された。  千葉景子ネクストが冒頭挨拶。平岡筆頭理事が経過報告。  意見交換。冒頭、私は発言した。その趣旨は以下の通りである。  「もし与党が民主党案を丸呑みするとなると、いままでの政府答弁は  みんな虚偽答弁だったということになる。細田国対委員長の再修正の  話や、麻生外務大臣の民主案では条約は批准できないとの談話など、  とても採決できる環境ではない。午後からの採決は絶対にすべきでは  ないと主張。さらに、参議院に仮に送られてきても、虚偽答弁の  真偽を確認するために長時間の質疑はせざるを得ない。6月18日の  会期末まで定例日は4日しかない。もし送られてきたとしても、  参議院法務の理事として、会期内成立で協力することはとても  無理である。」と言明した。 ●共謀罪法案についての取り扱いは、すでに法務委員会を超えて、  国対レベルの政治マターになっている。最終的に国対のしきりと  なるだろうが、法務部門会議としては、仮にわが修正案を丸呑み  したとしても今国会での法案成立に協力すべきではない。また、  本日午後1時から予定されている委員会での質疑も、入るべきで  はないことを確認した。 ●その後も衆議院の法務委員会の状況を各方面から情報を取りながら  自室で見極め。結果、午後5時過ぎに与党だけの質疑。採決なし。  信託法改正案の趣旨説明も見送られたようである。 ●またしても共謀罪の成立は見送られた。継続審議となりそそうだが、  もはや廃案・出しなおししかないというべきである。 ●法案についての自公のあまりにも無節操な対応は驚くばかりである。  全部飲んでやったのだから、賛成するのは当たり前と考えるのも傲慢である。  180度の変節の根拠を明らかにする十分な時間を与えもせずに、採決を強要するのを認  めるわけにはいかない。 ●共謀罪法案は、日本の刑事司法の骨格を変える重大法案である。自公には  そんな認識の片鱗すらないようだ。だから、簡単に丸呑みし、テロ対策のサミットでの  顔が立ったなら、再び修正すればよいと考える。彼らにとっては、どんな法律も「権力  のおもちゃ」でしかないのである。 ●行為主義か意思主義か。これは近代刑法の最初の重要な議論であった。  姦淫の想像のみで処罰の対象とするのは、宗教が支配したかつての司法の世界。  意思のみでは処罰しない。意思が行為として外部に現れたときに初めて  処罰するのが行為主義であり、そこに思想信条の自由を前提とする近代刑法の  出発があったのである。わが国の刑法はこの思想を色濃く受け継いできた。 ●しかし、共謀罪法案は、その根幹を変えようとする。  共謀という内心が少しでも外部に現れただけで処罰される。  しかも、その対象犯罪を条約の文言どおり「4年以上の犯罪」とすると、  その数は600を超える。わが国の刑法の基本構造は、原則的に  行為主義から、意思主義に変わってしまうことになる。 ●以上の認識は、自公政権の幹部にはない。あるのは、権力のおごりと  ご都合主義でしかない。立つ鳥は最後になって完全に馬脚を現した。 【3】 先週の主な出来事 ■5月29日(月) 08:00 第705回マンデーレポート 12:00 国会コーラス愛好会役員打ち合わせ。 15:12 決算委員会     ★予備費関連について採決。 ■5月30日(火) 08:30 民主党法務・外務防衛部門合同会議 (上記【1】参照) 09:50 参議院法務委員会理事会 10:00 参議院法務委員会 13:00 憲法調査会事務局打合せ 13:15 面接交流ネット代表柏木様請願 13:30 共謀罪院内勉強会 16:00 民主党知的財産権戦略委員会 17:00 民主党憲法調査会衆参合同会議 18:00 「民主党パーティー前進2006」 ★大盛況。文字通り立錐の余地なし。民主党に、活気が戻ってきた。 ■5月31日(水) 08:20 民主党法務部門会議 08:40 民主党法務・財金合同部門会議 09:30 民主党議員総会 10:00 参議院本会議 12:00 国対・理事合同会議 ■6月1日(木) 09:50 参議院法務委員会理事会 10:00 参議院法務委員会 ★刑事施設法改正案について質疑。千葉景子議員。  修正案提出。千葉議員趣旨説明。民主案には、共、国民新党が  賛成したが自公の反対で否決。原案について採決、民、共、国日は  反対。賛成多数で可決。私、全会派を代表して付帯決議提案。  全会一致で可決。付帯決議は13項目に上った。衆議院でぼかされた、  代用監獄を漸減するとの法制審のかつての答申について、「これを想起する」としてそ  の位置づけを明確化させ、捜査の可視化、判決言い渡し時の服装など、  衆議院法務委の付帯決議を少しでも良くしようと全力を尽くした。 13:00 テレビ東京永井様打合せ 13:30 大出様面会 14:00 下野新聞インタビュー 16:30 法務省寺田民事局長面会 (上記【2】参照) ■6月2日(金) 09:30 民主党議員総会 10:00 参議院本会議  (上記【2】参照) 11:00 民主党法務部門緊急会議 (上記【2】参照) 16:00 NTT労組北関東総支部「政治学習会」講演 18:30 ボニージャックス チャリティーコンサート ■6月3日(土) 09:50 第4回連合栃木足尾植樹デー ★足尾町 松木渓谷の急傾斜地で植林。伍井会長はじめ約300名の  連合関係者が参加。1000本の苗木を植えた。 12:00 日産労連・エルダークラブ第14回総会後の懇親会 18:00 齋藤たかあき後援会設立総会・懇親会