国会通信 No.716
【遅すぎた首相談話】
2006/8/29 (マンデーレポート716の要旨)
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【1】遅すぎた首相談話。
【2】「東條英機 暗殺の夏」 は面白い。
【3】テレビ東京特番「合唱コンクール」
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【1】 遅すぎた首相談話。
●小泉首相は28日朝、首相公邸で、加藤紘一衆議院議員の山形県の
実家および事務所が放火された事件について、初めてコメントした。
放火事件が起きたのが8月15日。2週間がたとうとしている。
あまりにも遅すぎた首相談話である。
●靖国問題への首相の対応に対してかねてから加藤氏は批判的であった。
これに反発した政治テロであることは間違いない。しかも終戦記念日の
8月15日に照準を絞っている。外出中で事なきを得たものの、実家には
90歳を超える加藤氏のご母堂もいた。焼失した事務所は、加藤氏が父親から
引き継いだ歴代の政治家としての歴史も刻まれていた。
●靖国問題に対する見解の違いは違いとして、暴力で言論を封じようとする
テロ行為は断じて許してはならない。小泉首相は、総理として直ちにこの行為を
断罪すべきであった。しかし彼は2週間近く沈黙していた。
●9・11のテロ行為もそして今回の放火犯も、その本質は同じである。
自らの主義主張にそぐわないものはその存在を認めない。その存在を抹消することに
手段を選ばない。だからこそ、テロ行為は民主主義と相容れないのである。
ブッシュ大統領とのテロとの戦いにはもろ手を挙げて賛成する小泉総理。
しかし、自らと見解を異にする加藤氏へのテロについては沈黙する。
これでは、総理の唱える「テロへの戦い」もかなりご都合主義のいい加減なもので
あると批判されよう。
●さらに、わが国はこのような政治的テロによって、言論が弾圧されていき、政治的な
意思決定がゆがめられていった過去の歴史を持っている。そんな過去へと回帰させる
暗いエネルギーがじわじわと蓄積されつつあるのではないか。 そんな不気味な
地鳴りがきこえてきそうだ。だからこそ総理には毅然とした対応をしてほしかった。
●今朝の朝日新聞。若宮啓文さんが、放火事件に対する総理の対応への批判を
署名入りで書いていた。この記事を察知して、あわててコメントしたのではあるまいが、
記者の 「首相の靖国神社参拝がナショナリズムをあおっているのではないか」との質
問に対しては、「それはないと思う。あおりたがる勢力があるのは事実だ。これ(靖国
参拝)は外交問題にならない。」「よその国からあおり立てられ、よその国をあおり立
てるような報道は戒めたらいいのではないか」。などと答えていた。「あおりたがる勢
力」、「よその国」、そして「報道」。答えずらい本質的な質問には、お得意のスリカ
エ3連発で煙に巻く。総理の本質は見事に変わらない。
【2】 「東條英機 暗殺の夏」は面白い。
●半藤「昭和史」以来、昭和史の認識不足を痛感している。今読み始めたのは
吉松安弘著、「東條英機 暗殺の夏」はとても面白い。そして自分の知らないことが次
々と出てくる。空白の戦中史を知りたい人には、お勧めしたい。
●昭和19年夏。開戦当初の日本の勢いは急速に失われつつあった。太平洋ではアメリ
カ軍が急激に島伝いに反転攻勢、マッカーサーのフィリピン上陸は時間の問題となって
いる。ヨーロッパでは連合軍がノルマンジーに上陸。東西からドイツを挟撃しつつある
。戦争勝利のための総動員体制をしき、戦争勝利に全力を挙げる東條首相。総理大臣、
陸軍大臣、
軍需大臣の3大臣を兼務し、陸軍参謀総長まで兼ねた東條首相の好きな乗り物は「馬」
と「オープンカー」だった。毎朝5時に起き、馬に乗って民情視察をする。少々の雨の
日でも、冬のさなかでも、背筋をピンと伸ばし軍刀をついて乗車する、、、そんな当時
の状況が
生き生きと書いてある。
●吉松さんの経歴は、インターネットで調べると、
●吉松さんの経歴を、インターネットで調べると、1933年、東京生まれ。東京大学卒業
。東宝撮影所等で助監督の後、映画監督。脚本も書いた。 監督作品に「陽のあたる坂
道」「神様なぜ愛にも国境があるの」。また「用心棒」や「若大将対青大将」の監督助
手の経験もある。とにかく映画監督らしいタッチで、昭和19年の6月、7月の2ヶ月間の
権力闘争を克明に書いている。
●著者が「あとがき」で書いていることでもあるが、戦時下の日本の政治社会の研究が
意外に少ない。いわば日本史研究の暗部になっていることである。これを東條首相が
総辞職に追い込まれる2ヶ月に焦点をあてることで、かなりリアルに解明してくれそう
だ。そんな期待を持って読み始めた。
●私の基本的な関心は、日本人の戦争に対する自発的な抵抗運動があったのかどうか
である。戦争に対する健全な批判精神があったかどうかである。ドイツにはヒットラー
暗殺計画が現実にあり未遂に終わっている。またイタリア・ドイツに席巻されたヨーロ
ッパでは、レジスタンスやパルチザンなど、抵抗運動の歴史があった。それでは、日本
はどうだったのか。暴力をおそれるばかりで、なんの抵抗運動も起こらなかったのか。
そんな私の疑問にこの本は答えてくれるかもしれない。
●昨日読み始めたばかりだが、なるほどと思ったエピソードをひとつ。文庫本の69
ページあたりにある、「懲罰としての召集」という事実である。私は、この事実をいま
までほとんど知らなかった。
●著者によれば、東條首相の戦争遂行の考え方に抵抗する人々に対しては、意図的な召集
が行われた。著者はこれを「懲罰としての召集」と表現する。そして、「天皇の名によ
る召集が、東條首相の気に入らぬ人物への懲罰として行われる例」としていくつかの事
実をあげている。
●著者の書いている「懲罰として兵士に狩り出した人々」は以下の通りである。
1 都留重人。
= 木戸内大臣の甥。ハーバード大学卒。海軍省調査課当時 陸軍ににらまれ
解雇圧力。解雇直後 召集令状が来る。
2 福家俊一、有馬英治、浜田尚友の3人の衆議院議員。
=政府提出の市町村改正案を、官僚の権力増強案と批判し反対した。
東條首相の怒りを買い召集されることになった。
3 中村登音夫検事。
=東京地検 思想部長。反東條派の中野正剛衆議院の検束要求に対し、
法的根拠薄弱と抵抗。43歳で召集。
4 新名丈夫。
=毎日新聞記者。海軍担当。「竹やりでは間にあわぬ」と陸軍批判。
強度の近眼にもかかわらず37歳で召集。
なお、都留に対しては、木戸内大臣が、東條秘書官の赤松大佐に会い、
部隊内部で特別な暴力的な制裁を受けぬよう、せめて死の最前線に追放する
ことだけはしないよう頼んでいたなどのことが書いてある。
●統帥権独立の影に隠れ、戦争遂行に背を向けた人々に対し、いかに国家的な
暴力が仕組まれていったのか、慄然とするものがある。昭和19年といえば、
私が生まれるたった6年前でしかない。62年前の日本に厳然としてあった
事実を私は知らなかった。そんな不勉強を心から恥じている。
戦前と戦後をつなげ、日本人や日本社会のさまざまな一面を知るためにも、
この本は熟読したいと思っている。また著者の吉松さんとも、ぜひコンタクトを
とって歴史リスク研究会等でお話しを聞かせていただく機会を作りたい。
【3】テレビ東京特番「合唱コンクール」に出演
●8月22日(火) テレビ東京の「輝け!オールスター合唱コンクール」の本番の収録が
錦糸町のトリフォニーホールで行われた。国会コーラス愛好会の有志23名も、国会合唱
団として参加した。
●参加チームは全部で7団体。俳優・女優合唱団、落語家合唱団、よしもと合唱団、
スポーツマン合唱団、アイドル合唱団、ものまね合唱団など多彩な顔ぶれの皆さんと
合唱の成果を競い合った。
●国会コーラス愛好会は、チャリティーを目的に活動してきた。指揮者は岡村喬生さ
ん。伴奏ピアニストは半田規子さん。すでに日比谷公会堂、九段会館と二度のコンサー
トを行い、国連難民事務所、ユニセフと収益金すべてをチャリティーしてきた。ドタキ
ャン名人の国会議員とその家族を叱咤激励。それなりの成果を挙げてきたのも、完全ボ
ランティアで指導していただいている岡村先生やボニージャックスのみなさんのおかげ
である。
●テレビ局からの話しがあったのは4月ころだったか。合唱文化の振興に少しでも協
力できればという気持ちや、2回のコンサートの経験や、持ち歌の蓄積があるから大丈
夫などといった気持で、みんなと相談の結果、出演を了解した。
●しかしテレビ局も甘くはない。まず、横文字の歌は困るとプロデユーサー氏。結果と
して苦難の末マスターしたはずの「ハレルヤ」や「ナブッコ」は禁じられてしまった。
ハレルヤを熱唱し、聴衆の度肝を抜けば優勝間違いなし、そんな思惑も初手からはずさ
れた。
●さらに、テレビ用には長大な局では困る、3分前後の曲にしてほしいと言い渡され、
さらに困惑。そして、2曲のうち1曲はテレビ局の用意した新しい曲を歌ってもらいたい
との提案をしてきた。結局、出場者全員がそろったのは本番のときだけというドタキャ
ン名人ぞろいが国会コーラス。できるだけ練習の負担を軽くしておきたかったのだが、
そうも
行かなくなってしまった。結局のところ、レパートリーの中から坂本九さんの「見上げ
てごらん夜の星」を。局側の用意したものから「あの素晴らしい愛をもう一度」を歌う
こととなった。
●とにかく国会コーラスの最大の欠陥はみんな集まらないこと。合唱は独唱の集合体で
はない。別のパートの音を良く聞き、懸命にハーモニーを作る努力をすること。それが
合唱の本質。それなのに、人の集まりが悪い。音量も音質も、全員そろわないから見極
めようもない。そのうえ指揮者の岡村先生のヴィルトゥオーゾたっぷりの変幻自在の指
揮。つぼに入ったときは絶大の効果なのだが、はずしたときは怖くて想像したくもない
。しかし、本番の集中力もすごいものがある。
●そんなスリリングな体験を今回もさせていただいた。疲れた。
しかし、見上げてごらんのピアニッシモのユニゾン(斉唱)はいままででは最高の出来
だったと思う。合唱の醍醐味のひとつは、同じ旋律(=ユニゾン)を弱音でピーンと歌
いきったとき。見上げてごらんはきれいだった。
●イタリア旅行直後、時差ボケをものともせず指揮していただいた岡村先生、
合唱指導のボニージャックスのみなさん、伴奏ピアニストの半田さん。音取りCDを
作ってくれた篠川典宏さん。ご協力有難うございました。
(なお、篠川さんにお詫び。
団員から、音取りCDの「音違い」の指摘がありました。これは篠川さんの
せいではありません。テレビ局の渡してくれた編曲楽譜が、モーツアルトのように
天才的乱筆であったためです。それをそのまま送ってしまった私のミスでした。
お許しください。)
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結果につきましては、下記放送日をぜひごらんください!!
放送予定:2006年9月16日(土) 夜9時〜 テレビ東京系列
曲目・・・「あのすばらしい愛をもう一度」 「見上げてごらん夜の星を」
ソプラノ : 古賀百合子、山東昭子、鳩山幸、平沢あや子、
松下志保子、簗瀬佳子
アルト : 岡崎トミ子、郡和子、千葉景子、林万里子、
牧野季子、森ゆうこ、和田洋子
テナー : 枝野幸男、鈴木寛、簗瀬進、吉田泉
バス : 江田五月、達増拓也、長浜博行、羽田雄一郎、羽田孜、林芳正
指揮 : 岡村喬生
ピアノ : 半田規子