国会通信 No.739

【だれのための憲法改正か】

2007/3/5 (マンデーレポート739の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】だれのための憲法改正か。 【2】官邸機能不全。 【3】民主党の格差是正具体策 【4】先週の主な活動。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 だれのための憲法改正か。 ●衆議院本会議で予算が可決されたのが、10日午前4時。池田内閣  時代以来の50有余年ぶりの異常事態である。 ●気弱な総理が、追い詰められて眼がすわってきた、、、私にはそのように  感じられる。これは、すこし怖いことだ。気弱なリーダーは、極端な、非妥協的、  かつ現状無視の猪突猛進をする。往々にしてそんな指導者が、歴史をゆが  めてきた。そんな危機感を持つべきだろう。 ●朝日新聞などは、国民投票法案をあげるために強行したのだ等の  断定的な解説をしている。中曽根元総理と話をして総理は腹をくくったそう  である。 ●支持率低下のなかで、参議院選挙を向かえるのなら、やりたいことを  やって、悔いの残らない戦いをすべきだと総理は考えているのかもしれない。  しかし、選挙の争点を憲法改正に絞込み、後半国会の最重要課題を  国民投票法案に絞りこみ、さらに5月3日までに衆参ともに国会を通過させて  成立させるなどの一方的なスケジュールを強制するとしたら、その姿勢は  基本的に誤っている。なぜなら、憲法制定権力は国民にあるといった  基本的視点を欠いているからである。   ●国民主権の出発点は、国民による憲法の制定である。それに続く、  国民主権の発露が憲法改正である。憲法制定にしても、改正にしても、  その担い手は、議員でも政党でも、内閣でも、総理でもない。  憲法制定権、改正権は国民にあるのである。 ●憲法改正は、政権浮揚のためにやるものでもないし、選挙対策  として行うものでもない。国民一人ひとりが、この国の未来の姿を真剣に  考え、多くの国民が積極的に参加して行えるような環境を整えて  行うべき民主主義の原点としての営みであるべきである。 ●安倍総理には、この基本的な視点が欠けている。憲法改正を  議論する基本的な資格が欠けている。  官邸機能不全。 ●朝日新聞の「論座」4月号に掲載されている、上杉隆さんが書いた  「官邸機能不全」。これを読むと、安倍総理を支えるべき官邸が、いかに  支離滅裂な状況にあるか実感される。そのなかでもっとも驚かされたのは、  今度の通常国会開会式の決定に際して、天皇陛下の日程の確認さえして  いなかったことである。 ●国会の召集は天皇の国事行為(憲法7条2号)。  この規定の結果、開会式には天皇のお言葉が述べられるといった  重要な式典が行われる。なんと安倍内閣は、天皇の日程の確認を  怠って1月25日に召集日を決めてしまい、同日開会式が行えなかった  そうだ。 ●国会通信735号の【先週の日程】を見てみると、普通は1日ですましてしまう  「院の構成」と「開会式(陛下のお言葉)」が、今年は、前者が25日(木)、後者が  26日と、両日にまたがって行われた。そして、通常は分けるはずの、  開会式と総理ほか3大臣の所信表明演説が、今年は26日の午前、午後に  またがって同じ日に行われている。普通と違うので変だなと感じはしたが、  あまり深く詮索しなかった。 ●しかし論座の上杉さんのレポートで、背後の事情が見えてきた。  そうか官邸のミスで天皇の日程を確認せずに25日開会と決めてしまったので、  25日はたった10分で終わってしまう「座席指定」と「委員会の設置」だけで  終わらせざるを得なかった。そして開会式26日の午前、そして所信表明は  その日の午後という変則になったのだと了解できた。 ●国会日程よりも、天皇日程が事実上優先されるとしたら、国民主権主義の  憲法にあって、その実態は決して望ましいことではない。しかし、国会の召集を  天皇の国事行為と定めている憲法の趣旨も考慮すると、天皇の日程への  配慮も欠かせない。このあたりの微妙なさじ加減を心得た上で、調整して  いくのが国会召集を決定する際の当然の技量ということになる。安倍総理を  支える官邸の機能はかなり幼稚なことがよく分かった。  余談だが、天皇の日程と、国会召集のタイミングが、政治の対立構造の  なかで大変重要になるときが確かにある。私も、衆参ともに議運理事の経験  を持っているが、天皇日程を盾にとっての攻防が何度かあったように記憶  している。天皇の政治的利用は厳に戒めなければならない、そのように  議運の理事会で声を荒げたことも何度かあったように記憶している。  しかし、憲法が天皇制を前提にし、国事行為として国会の召集や解散を  規定している以上、デリケートな瞬間が出てくる可能性は否定できない。  与野党ともにこの点自戒すべきであるが、こんな基本的な配慮を欠いた  低劣な現政権の官邸は問題外である。 【3】 民主党の格差是正具体策 ●先週のネクストキャビネットで民主党の格差是正具体策が  まとまったので簡単に紹介したい。民主党は後半国会の最大の  焦点を、急速に拡大している格差問題に焦点を当てるべきだと  思っている。 ●参議院選挙で国民の審判を求める、最大の争点は  憲法改正ではない。これからの日本の社会や経済をどのように  考えるべきか。それが格差問題である。与野党ともに、この  テーマでの政策競争をすべきである。そして、その結果をもって  参議院選挙に臨むべきである。 ●民主党の基本的な考え方は  「活力ある経済と、安心できる生活は両立できる」ということであり、  そのために必要な対策として、「格差是正緊急提言」と、「格差是正緊急措置法案」に  二つを提案しながら、格差を是正し、「生活」と「経済」が両立できる社会を実現して  いくことに尽きる。 ●まず「格差是正緊急提言」の中味は以下の10本の柱からなっている。  @非正規労働者、フリーターへの支援(雇用格差の是正)  A真の男女平等を実現(男女格差の是正)  B全ての子どもに機会均等を保障(教育格差の是正)    C年金制度の抜本改革を実現(年金格差)  D必要な人に必要な医療を提供(医療格差)  E必要な人に必要な介護を提供(介護格差)  F誰もが誇りを持てる社会(福祉格差)  G規模で区別しない農業政策(農家間格差)  H中小企業にも公平な競争環境を実現(企業格差の是正)  I元気あふれる地域社会(都市と地方の格差) ●次に「格差是正緊急措置法案」の骨格は以下の通りである。  @最低賃金引き上げ   「最低賃金法」に「全国最低賃金」を規定する条文を追加する。  A同一価値労働・同一賃金   「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に「短時間を理由とする差別的取   り扱いの禁止」の旨の条文を追加する。  B非正規社員の正社員化の促進   「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を改正し、   非正規社員の優先的採用の努力義務を事業主に課す。  C募集・採用時の年齢差別禁止   「雇用対策法」に「募集・採用時の年齢差別の禁止」の旨の条文を追加する。  D児童扶養手当の縮減の見直し   平成14年改正児童扶養手当法を廃止し、平成20年度からの児童扶養手当の縮減を実施   しないこととする。  E障害者自立支援制度の抜本見直し   「障害者自立支援法」の附則に「1割負担凍結」「事業所収入確保」の条文を追加。   また児童福祉法の附則に「1割負担凍結」の条文を追加する。  F公的年金控除拡充・老年者控除復活   H16年度税制改正によって実施された「公的年金控除縮小」「老年者控除廃止」を元   に戻す。(但し、「老年者控除」の所得制限は従来の1000万円に代え300万円とする) ●さらに、福祉の現場で起きている緊急の問題に対処するために、「緊急行動計画の策定」  をすべきであると提案した。その内容は以下の通りである。  ○産科医、小児科医を中心とする地域における医師の需給の改善に関する事項  ○平成18年診療報酬改定の影響を勘案したリハビリテーションの適切な確保に関する   事項  ○正当な事由によって医療保険料の支払いが困難となっている者若しくは被保険者資格   証明書の交付を受けた者等に対する適切な医療の確保に関する事項  ○療養型病床の廃止及び住居費、食費の自己負担化等による自己負担の増加を勘案した、   介護サービスの適切な確保に関する事項  ○生活保護の母子加算廃止の見直しに関する事項  ○生活保護の就学援助を受けている児童若しくはそれに準ずる状況にあるとして地方公   共団体の援助を受けている児童に対する支援及び日本奨学支援機構等が貸与する無利子   奨学金の財源の拡充に関する事項  ○中小企業に関わる助成制度、制度融資の利用者の立場に立った改善及び中小企業に対   する優越的地位の利用、不当廉売等の不公平な取引方法の改善に関する事項 【4】先週の主な活動。 ■ 2月26日(月) 08:00 第738回マンデーレポート 09:30 民主党障がい者政策推進議員連盟栃木県視察 10:00 「ちえのわ」の皆様との懇談 17:00 「足利銀行の受け皿選定に関する要望」山本金融担当大臣申し入れ ■ 2月27日(火) 12:00 民主党・新緑風会常任役員会 13:00 モンゴル大統領国会演説 14:30 民主党エネルギー政策調査会 15:15 警察庁レクチャー 16:00 民主党第4回格差是正PT 16:20 民主党鳩山幹事長とモンゴル大統領との会談陪席 ■ 2月28日(水) 08:00 民主党法務部門会議 10:30 民主党内閣・法務部門合同会議 11:00 民主党法務・厚生労働・内閣3部門合同会議 12:00 民主党参議院国対・理事合同会議 18:00 民主党企業団体対策委員会懇親会 ■ 3月1日(木) 08:00 民主党外務・法務合同部門会議 08:00 民主党第8回はたらき方調査会 08:30 民主党法務部門会議役員会 13:30 日中議員交流のための準備委員会 14:30 ジャーナリスト塩田潮氏取材 16:00 民主党エネルギー政策調査会 16:30 民主党行政改革調査会 ■ 3月2日(金) 08:00 NTT労組「情報通信政策研究会」勉強会 18:30 さとう栄3・2総決起集会 ■ 3月3日(土) 10:00 連合栃木「2007春季生活闘争・総決起集会」 13:00 木村謙法律事務所訪問 ■ 3月4日(日) 14:00 塚原たけしげ「決意を語る会」 18:00 藤井弘一議員を励ます会・音楽の夕べ