国会通信 No.740
【国民投票法案 神経戦】
2007/3/13 (マンデーレポート740回の要旨)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【1】 国民投票法案、いよいよ神経戦に突入。
【2】公聴会、1回3時間ですむはずがない。
【3】Iさんからのメール。
【4】最低投票率の規定がないことをご存知ですか。
【5】先週の主な活動。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【1】 国民投票法案、いよいよ神経戦に突入。
●先週は、衆議院の憲法特で、憲法記念日までの国会通過をめざす自民党と
それを阻止しようとする民主党の間で、激しい火花が散った。
時系列で、その動きを追ってみた。
●3月6日(火)12:00。
民主党・新緑風会常任役員会が開催された。
席上、輿石会長から、国民投票法案の対応について
近々に、菅代表代行、鳩山幹事長、中野政調会長を入れての
対策会議が開かれることになるだろうと、報告された。
衆議院での予算可決前後から、やたら強気の安倍首相。
国民投票法についての強引な姿勢が鮮明になってきている。
かねて、党の最高幹部を交えた戦略会議の必要性を訴えてきたが、
ようやく実現される運びとなってきた様子。
同日午後3時過ぎに輿石会長から電話。明日午後6時、院内の
幹事長室(第25控室)で国民投票法案の打ち合わせをする旨の
連絡があった。
●3月7日(水)
この日、衆議院の憲法特では、理事懇談会が午前、午後にまたがって開かれ、
与党筆頭理事から、公聴会を来週の15日、3時間コースで行いたいと
の提案が正式になされた。野党筆頭理事の枝野氏はその提案を拒否。
しかし、中山太郎委員長は、野党の反対にもかかわらず、公聴会の開催決定
のための委員会を、あす8日に開催する旨を、職権で決定してしまったとの
情報が飛びこんできた。中山委員長は、これまでの5年を超える調査会〜
特別委員会の運営において職権で委員会を立てたことはなかったのである。
緊張感が急激に高まった。
18:00院内25控室。 民主党「国民投票法案に関する打合せ」。
菅、鳩山、高木(国対委員長) 中野、枝野、参議院側からは
輿石、郡司(国対委員長)そして私。15日公聴会、22日委員会・本会議通過など
の強引な採決をめざす与党に、どう対応するかさまざまな角度から議論。
論議は1時間を越えた。
議論の詳細は省略。結論として、直前に行われた、
小沢、菅、鳩山の会談で述べられた代表の基本方針どおり、
民主党案を丸呑みしない限り、拙速な採決については断固として戦うことが
確認された。
さらに「丸呑み」の意味は、「重要な国政問題についての国民投票」も含まれること、
この法案への対応が参議院の争点になることも辞さないことが確認された。
そして明日の委員会の対応も、とにかく国民の目に見えるような、鮮明な対応を
すること、さらに、現場と国対が協力体制をとることも確認された。
そして、委員会での具体的な細部にわたる対応は、筆頭理事の枝野氏に
任されることtなった。
ととにかく、国民投票法案の具体的な中味も、もちろん与野党の対立点も
まだまだ国民には伝わっていない。「出席して反対する」などの「静かな抵抗」ではだめ。
テレビを釘付けにするような乱を起こさない限り、国民の関心は高まらないのである。
●3月8日(木)
09:30 「国民投票法案に関する打合せ」のために院内25控え室につめる。
控え室のテレビで、憲法特の様子を注視する。菅さん、鳩山さん、中野政調会長も
顔を出す。国対委員長代理の平野氏も出たり入ったり。
職権で立てられた憲法特の開催予定時間は9時半。しかし、与党委員の
着席する姿はあるが、委員長の入室はまだないようだ。枝野筆頭は、理事会を欠席して
いるはず。
また、委員室付近には、入室せずに民主党委員がつめる、さらには国対動員の民主党議
員もつめているとの報告。与党とのチキンゲーム、神経戦がいよいよ始まった。
1時間近くたって、与党議員がぞろぞろと退席する姿。理事会も、野党退席のまま
いったんは休憩となった。理事会は、午後1時の本会議の後、仕切りなおしされるとの
情報が入る。
14:00 参議院民主党国対委員長室につめる。郡司委員長とともに、衆議院の
状況を見守る。しかし、動きなし。その後、幹事長室から電話連絡。
本日の打ち合わせ会は開く必要なしとの判断が伝えられる。
本日の「空襲警報」はようやく解除されたようだ。
●しかし、戦線をたてなおしてまた仕掛けてくることは当然予想している。とにかく、
安倍さんは目が据わってしまった。衛藤問題でも明らかなように、物狂いしたように、
遮二無二自説を貫ききれば、支持率もやがて上向くと信じてしまったようだ。
答弁を終え、席に座るや否や、周辺の反応を見るために、落ち着きなくさまよっていた
安倍さんの目が据わってきた。「忠誠心」といった中川幹事長の言葉を逆手に取り、
ねじ伏せることができた。つまらぬ勝利に酔って、目が据わってしまったようだ。
要注意である。
【2】 中山会長や与党理事に申し上げます。
公聴会は、たった1箇所、3時間で良いと本当にお考えなのですか。
それでは、あまりに少なすぎます。そしてあまりにも
憲法制定権を持つ国民を無視しています。
●【1】ですでに触れたように、自民党と公明党は、当初15日(木)に、東京で
3時間の公聴会を行う、そして翌週の22日(木)に委員会で採決、同日緊急上程して
本会で可決、その日のうちに参議院に送付する等々のスケジュールを本気で考えてい
るようだ。
●つまり 公聴会は全国でたった1箇所、東京で行い、その時間も3時間程度で良い
と考えているのである。それではあまりにも少なすぎる。
●あの教育基本法だって、地方公聴会を4箇所(宮城、栃木、愛知、三重)で行い、
そのうえ中央公聴会を東京で行った。これを大幅に上回る公聴会を実施すべきである。
●新たな手続きが、投票主体の国民に理解されるためには、法案の審議過程からの積
極的な参加が必要なのは当然である。
そのために大変重要な意味を持つ公聴会を全国で1箇所、
東京だけですまそうとするのは、じつにけしからん話である。
せめて、北海道、東北など大きなブロックごとに行うべきではないか。
私はそう考える。
●公聴会を、1箇所3時間だけで衆議院通過を考えるとは何事かといいたい。
自公の対応は、国民投票法案をいかに軽視しているかの現れであり、さらに憲法改正の
主役が国民であることを全く忘れた考え方である。
私は、こんな国民無視の自民・公明の対応に震えるほどの怒りを覚える。
【3】 Tさんからのメール
●埼玉県の Iさん(36才 女性)からメールを頂いた。
メールには、「憲法改正国民投票法案について国民に考える時間を下さい」
といった意見が書いてある。まったくその通りだと思ったので、これをそのまま
引用させていただきたい。
国民投票法案は、国民が意見を発信する環境(衆議院総選挙・参議院通常選挙による
国民判断機会)にない状況で国会採決を行わないで下さい。
政府も、与野党も、もっと詳しく具体的に国民投票法案について国民に説明し、考え
る機会をください。
私の父母は毎日比較的まんべんなく新聞記事に目を通し、テレビのニュースを見、
インターネットも使えますが、国民投票法案に関する知識はほとんどありません。
法案に関する説明はインターネットで見ることができるので情報は開示している、
としていますが、インターネット環境にない国民はもちろん、
インターネット利用環境にある国民も国民投票法案について
「積極的に」調べようとしなければ、国会や政府がこの法案について知るのは
きわめて困難です。
もっと広い範囲の国民が知ることの出来る新聞・雑誌・ニュース解説などで、
隠すことなく、かたよることなく、法案の内容を提供してください。
衆議院・参議院選挙できちんと争点にして、国民の意見を聞いてください。
政府・議会・政党・議員の皆さん、よろしくご検討願います。
【4】 最低投票率の議論
●彼女のメールに対し、私は「最低投票率」の議論を例に挙げながら、
まったく同感であるとする返信を書きました。
●実は、自公案も民主案も 国民投票に最低投票率の定めをしてはいません。
この重要な論点をおそらく多くの国民は知らないのではないでしょうか。
●この結果どうなるかといえば、国民投票で投票した人が全有権者の何割であろうと
その過半数で憲法改正は「成立」します。
極端なことを言えば、国民投票を国会が発議したものの、
有権者の大半が投票をボイコットし
その結果、たとえば投票した人が全有権者の20%であっても、10%であっても、
その過半数で 憲法改正は 国民の承認を得たことになります。
●自公案、民主案も 様々な内部の議論はあったでしょうが、
両案とも「最低投票率」の定めは置くべきではないとの考え方に立っています。
双方とも、この規定を法案には採用しなかったので、いわゆる「対立点」には、最初か
らなっていません。したがって、この点について、マスコミも あまり報道しません。
その結果、自公案も民主案も、きわめて少数の賛成で憲法改正が成立する可能性を否定
していないことでは、実は共通しています。国民どころか 与野党を問わずおそらくか
なりの議員がこのことを知らないと思います。
●先日
日弁連の憲法関係の委員会の皆さんと
参議院民主党の憲法特別委員会メンバーで議論したとき
日弁連の皆さんが もっとも懸念を持っているのは、最低投票率の規定が、
両方の案にともに存在していないことであことだと分かりました。
●実は、民主党の憲法調査会の内部の議論ではこのことについて、結構激しい議論が
ありました。
私も当初は、必要説を訴えました。
しかし 残念ながら私の議論は多数にはなりませんでした。
多数の意見は、意図的なネガティブキャンペーンを許すべきではない
といった議論であり、結論として民主党案も最低投票率の定めを置かないことに
決まってしまいました。
●私が 最低得票率を必要と主張した根拠は
1 憲法の力の源泉は、国民にある。
国民がそっぽを向いた 骨粗しょう症のような憲法改正は、
絶対に避けるべきである。私は「張子の虎」のような憲法改正を
おこなってはならない。
2 国会議員の選挙でも地方議員の選挙でも最低得票率の規程が
置かれている。憲法にも同種の規定を置くべきである。
(公選法の定めにてついては後記)
そんなところが私の立論でした。
●一方で この規定を置くべきではないとの考え方の根拠は、改正に反対であるなら
投票所に言って「反対」の意思を投票すれば良いだけのことではなかろうか。
もし、この規定を置くと「投票所に行かない運動」とか「投票しない運動」がやりやす
くなる。
そのような、悪質なネガティブキャンペーンを認めるべきではない。
具体的に「なん%」にするかと議論しても決めづらいだろう。
不要説の根拠はそんなところでした。
激しいやり取りもありましたが、不要説が多数を占め、民主党憲法調査会の総会でも、
結局異論は出ませんでした。
●しかし、憲法改正が主権者の国民にゆだねられるとしたら、
ネガティブキャンペーンをも含めて、
国民の多様な運動が認められるべきかもしれません。
●公選法95条には、選挙の際の最低得票率が定められています。
これによると、
小選挙区の衆議院議員は、「有効投票総数の6分の1」以上。(一号)
地方の首長は、 「有効投票数の4分の1」以上。(四号)
(複数定数の選挙の場合は、以上の規定に加えて、
「定数」で割った数が最低得票率になります。)
こんな規定を参考にして、まだまだ議論する余地はあると思います。
とにかく拙速は絶対に慎むべきです。
●いずれにしても、
憲法を作るのは 安倍さんでも、自民党でも、
まして民主党でもありません。
主権者の国民が憲法制定権力と改正権力を持っているのは
民主主義の最大の原理です。
国会は単なる発議者、国民に提案する立場でしかありません。
これが 民主主義のすべての原点です。
このことを基本にすべてを考えていくべきなのです。
●私は「力の強い憲法」と「力の弱い憲法」といった
考え方があると思います。
ここにいう「力」とは強制力ではありません。
民主主義に向かう国民のエネルギーだと思います。
燃えるような熱い革命的な国民の主権者としての思い。
それがこめられてこそはじめて本当の憲法が誕生します。
そして、「法の支配」が行き届いた公正な社会が誕生します。
このような熱い思いこそ「憲法力」の源泉だと思います。
逆に 国民の積極的な参加の少ない憲法改正を、
国民不在の政治主導で行ってしまったとき、
この国は最悪の状況に陥るでしょう。
形だけ、国民のエネルギーが欠落した、スカスカの憲法があるだけ。
憲法は、権力をけん制するのではなく、逆に国民を規制するために
存在する、そんな骨粗しょう症の憲法体制を作ってはならないと
思います。
●国民投票法案は、 憲法改正と密接に関連する重大な手続き法案なのです。
しかも、国民が主役となる手続きなのです。
したがって、公聴会は、国民参加の重要な機会ととらえ、
公聴会は、全国の重要な拠点で、できるだけ数多く行うべきです。
●投票法案の議論は、当然、今後の憲法改正の議論の予行演習。
もし、与党が強行すれば、憲法改正の本番でも
そんな姿勢で来るに決まっています。
与党が、もし本気で憲法改正を考えるとしたら、
手続法だからといって強行するのはあまり賢明ではありませんね。
【5】先週の主な活動。
■3月5日(月)
08:00 第739回マンデーレポート
■3月6日(火)
11:00 四野党「共謀罪対策チーム」第1回勉強会
12:00 民主党・新緑風会常任役員会
★国民投票法案の対応についての輿石会長発言あり。(参考 上記【1】)
18:00 連合芳賀地協「谷ひろゆき」芳賀地域選対結成大会
■3月7日(水)
08:00 民主党法務部門会議
09:00 民主党第8回死因究明制度小委員会
11:00 民主党内閣・法務部門合同会議
11:30 武道議員連盟総会
12:00 民主党参議院国対・理事合同会議
18:00 民主党「国民投票法案に関する打合せ」
(参考 上記【1】)
18:30 平岡秀夫君を励ます会
■3月8日(木)
08:00 民主党たばこ産業政策議員懇談会第9回総会
08:00 民主党第9回はたらき方調査会
08:00 民主党公開会社法PT・財金合同勉強会*講師:ドナルド・ドーア氏
08:00 民主党外務部門会議
09:30 民主党仏教議員連盟設立総会
★それぞれ重要な部門会議が同時並行。15分刻みで、駆けずり回った。
とくにロンドン大学教授のドーアさんの日本企業の分析に注目。
このことについては次回以降に触れたいと思います。
09:45 民主党「国民投票法案に関する打合せ」
(参考 上記【1】)
12:00 参議院法務委員会理事懇談会
13:00 請願受付*要請:全国自動車交通労働組合連合
■3月9日(金)
09:30 民主党議員総会
10:00 本会議
11:00 参議院法務調査室レクチャー
12:00 民主党法務部門会議役員会
12:30 民主党政策審議会学習会*講師:神野直彦教授
19:00 星一男後援会総連合会総決起大会
■3月10日(土)
16:00 齋藤たかあき総決起集会
■3月11日(日)
10:00 山田みやこ総決起集会