国会通信 No.748
【少年法改正に反対する】
2007/5/28 (マンデーレポート748回の要旨)
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【1】政府提出・与党修正の少年法改正案の中味は。
【2】政府案へ反対する理由は。
【3】民主党の修正案の主な内容は?
【4】警察が抵抗する「可視化」をめぐる攻防。
【5】先週までの主な活動
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【1】 政府提出・与党修正の少年法改正案の中味は。
●今国会に提出された少年法の主な内容は、
1 少年事件(14歳未満の事件)について、警察官による任意調査及び
押収等の強制調査等の手続ができるようにすること。
2 児童相談所長等は、一定の重大事件に係る触法少年の事件については、
原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならないとすること。
3 おおむね「12歳以上」の少年についても、家庭裁判所が特に
必要と認める場合には、少年院送致の保護処分をすることができるように
する。(原案の14歳以上、衆の与党修正によって「おおむね12歳以上」
と引き下げられました。)
4 遵守事項を遵守しなかった保護観察中の者に対する制裁の強化。
保護観察所の長が遵守するよう警告を発することができることとし、
それにもかかわらず、なおその者が遵守事項を遵守せず、保護観察によってはその改善
更生を図ることができないと認めるときは、家庭裁判所において少年院送致等の決定を
することができるようにする。
5 国選付添人制度を整備。
一定の重大事件について、少年鑑別所送致の看護措置がとられている場合において、
少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所が職権で少年に弁護士である付
添人を付することができるようにする。
などの内容でした。
●衆では、民主党は修正案を提起したもののほとんど審議する機会を
確保できぬうちに強行採決されました。したがって、以下(【2】参照)に述べる
ようなかなりの問題点がありながら、付帯決議をつけてカバーすることもできず、
参議院に送られてきました。
●強行採決は、いまの衆議院では日常茶飯事です。特に法案の多い、
法務と厚生労働の2委員会では、これが目に余ります。それを少しでも
押し返しながら、付帯決議のなかで、運用指針や将来への留意点を
付け加えていく、これは参の重要な仕事だと思います。
●付帯決議は、たしかに法的効力こそありません。しかし、付帯決議の
趣旨を尊重する旨の所管大臣の発言はかならず議事録に残ります。
そして、次の機会に付帯決議を踏み台にしながら政府側を追求する手がかりにも
当然なります。決して無駄な努力ではありません。
●派手な反対パフォーマンスももちろん必要な場合もありますが、
一過性の騒ぎで終わらせてはならないテーマもあることをわすれては
ならないと思います。
【2】 政府案へ反対する理由は。
●24日(木)、少年法の5時間の締めくくり質疑が終局したあと、
民主党を代表して修正案を提案しました。そして修正提案の趣旨説明を
行う中で、私は、なぜ政府案に反対なのかの理由を説明しました。その
おもな内容は以下のとおりです。
●今回の少年法改正案は、全体として、少年事件の厳罰化の流れを一層
推し進めようとするものであり、人格の可塑性にとむ少年事件への対処としてはきわめ
て不適切であるということです。
●まず、改正案は、触法少年事件について、警察官等による任意調査権限を
明確化していますが、調査の主体は、あくまでも児童相談所と家庭裁判所で
あるべきだと思います。警察官等が独自の判断で調査することができるようになる政府
案では、どうしても警察が触法少年事件の中心機関となり、
児童福祉の役割が大きく後退するのではないかと危惧されます。
●また、低年齢の少年は、表現能力などが不十分で暗示や誘導にもかかりやすい一般
的な傾向があります。低年齢の少年に対して、任意とはいえ、警察官等による調査が行
われることになれば、虚偽の自白が作り出されるのではないかと危惧されます。
●このような少年の被暗示性、被誘導性に対処するためには、少年に対する
調査の全過程の録音・録画が必要(=捜査の可視化)だと考え、可視化を
推進するよう再三質問しました。しかし、政府は頑としてその必要性を
認めません。
●従来、警察は、児童相談所への通告の準備行為として調査を行うにとどまっていま
したが、今回、通告とは別に送致規定を創設しました。その結果、警察官が触法少年を
児童相談所に通告しないまま、又は通告した後も、送致のために長期にわたって調査で
きることとなるおそれがあり、極めて不適切であります。
●保護観察中の少年は、保護司や保護観察官との信頼関係を築きながら成長・更生し
ていくことが期待されており、少年院送致等の威嚇により遵守事項を守らせようとする
ことは、保護観察制度の本来の意義を失わせるものであり、二重処罰に当たるおそれさ
えあります。
●さらに、政府原案では、現在、14歳とされている少年院収容の下限年齢を撤廃し
、さらに、衆において、「おおむね12歳以上」と修正されました。しかし、「おおむ
ね12歳」という下限年齢は、小学生の収容も可能としますが、小学生は児童自立支援
施設で育て直しを図るべきであります。
●また、児童の健全育成と保護の充実を図るため、児童相談所や児童自立支援施設等
の人的・物的体制の整備・拡充を行い、児童福祉の向上・発展に努めるべきであるのに
、政府案ではこの点への配慮がまったくなされておりません。
【3】 民主党の修正案の主な内容は?
●【2】のような反対理由を述べた上で、次に民主党の修正案を説明しました。
その主な内容は以下のとおりです。
1 触法少年事件についての警察官等の調査を、児童相談所長の要請を受けた場合又は
その同意を得た場合に限定し、その調査を適切に行うための準則は、国家公安委員会規
則で定める。
2 少年に対する質問に際しては、少年、保護者等が求めたときは、児童福祉司又は付
添人の立会いを認め、警察官は、少年に対し、あらかじめ、答弁を強要されないこと及
び児童福祉司又は付添人の立会いを求めることができる旨を告知し、少年の答弁及び質
問の状況の全過程を記録媒体に記録しなければならないものとしております。
3 「警察官は、一定の事由に該当する触法少年事件を児童相談所長に送致しなければ
ならない」とする旨の規定及び「児童相談所長等は、警察から一定の重大事件の送致を
受けたときは、原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならない」とする旨の
規定をそれぞれ削除する。
4 「家庭裁判所は、審判の結果、保護観察中の者が遵守事項を遵守せず、保護観察所
長の警告を受けたにもかかわらず、遵守事項を遵守しなかったと認められる事由があり
、その程度が重く、かつ、その保護処分によっては本人の改善更生を図ることができな
いと認めるときは、決定をもって、少年院送致等の保護処分をしなければならないとす
る」旨の規定を削除する。
5 初等少年院における処遇は、児童自立支援施設における処遇と著しく均衡を失する
ことがないよう、留意されなければならないものとするとともに、少年院収容年齢の下
限を「おおむね14歳以上」とする。
6 国及び地方公共団体は、触法少年及びぐ犯少年事件に適切に対応できるよう、児童
相談所、児童自立支援施設等について、職員の増員、研修等の実施、施設の充実等必要
な体制の整備に努めるものとする。
●採決の結果は、前記のとおり、修正案は賛成少数で否決。政府提出の原案は
自民党・公明党の賛成多数で可決でした。残念です。
【3】警察が抵抗する「可視化」をめぐる攻防。
●採決の結果は、ともかくとして、与党案の不備を少しでも是正するために、
付帯決議を提出しました。
● 付帯決議のポイントは
1 誘導されやすく、また暗示にかかりやすい少年への警察の調査が
行き過ぎないようできるだけの歯止めをかけること。
2 そのために、警察が最も嫌う「捜査の可視化」の検討の余地を
残すこと。
3 少年については、刑事司法的見地よりも、福祉的見地が優先されること。
などが主なポイントでした。
●特に、民主党をはじめとして、すべての野党が一致して要求しているのは
捜査の可視化の観点です。裁判員制度導入を目前に控えて、自白優先の捜査手法を根
本から改めさせるためにも、すべての捜査過程の録音・録画は
絶対に必要です。
●これに対し、政府の答弁は、可視化を進めると、捜査側と捜査対象者との
間の「信頼関係」が壊れるから導入はまかりならんの一点張りです。
●彼らの言う「信頼関係」って、いったい何なのでしょう。取調官の、お情けにすが
って進められる取調べ、これが彼らの言う「信頼関係」です。
まさにこの信頼関係こそ、自白強要のベースであり、冤罪の温床では
ありませんか。
●今回の付帯決議のやり取りも、最後には、可視化の書きぶりをどうするかが、与党
理事との最大の交渉ポイントでした。最初は、この点での、こちらの提案を、全面的に
削除してきましたが、それを押し返し最終的に与党と合意したのが以下の8項目です。
特に苦心した部分は、第1と第2ですので、ゆっくり吟味しいただければ幸甚です(^
^)。
●少年法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 触法少年に対する警察官の調査については、一般に被暗示性や被誘導性が強いなど
の少年期の特性にかんがみ、特に少年の供述が任意で、かつ、正確なものとなるように
配慮する必要があることを関係者に周知徹底すること。また、これら少年に配慮すべき
事項等について、児童心理学者等の専門家の意見を踏まえつつ、速やかにその準則を策
定すること。
二 当委員会における平成十八年六月一日付「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法
律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において、「裁判員制度の実施を控え、
刑事司法制度の在り方を検討する際には、取調べ状況の可視化、新たな捜査方法の導入
を含め、捜査又は公判の手続に関し更に講ずべき措置の有無及びその内容について検討
を進める」としていることにかんがみ、この検討の中で、触法少年に対する警察による
質問状況の録音・録画の要否についても、刑事司法手続及び少年審判手続全体との関連
の中で検討すること。
三 保護観察中の少年の遵守事項違反を理由とする少年院送致等については、保護司や
保護観察官と少年との信頼関係を基礎とする保護観察制度の理念を後退させることがな
いよう、適正な運用に努めること。
四 低年齢の少年は、発達段階に応じた個別処遇が必要であることにかんがみ、十四歳
未満の少年の少年院送致、特に、小学生の少年院送致については、児童自立支援施設と
の連携を図りながら、受入態勢に万全を期し、教育、情操面において遺漏なきを期する
こと。
五 保護観察制度の実効性を向上させるため、保護観察官の増員を図るとともに、少年
の保護事件について適切な経験・能力を有する保護司を確保し、育成するための取組を
積極的に推進すること。
六 少年非行の防止、抑止のためには、特に、児童福祉的対応の体制強化が緊要である
ことにかんがみ、児童相談所における児童福祉司等の専門スタッフの増員や専門性の強
化、少年非行対策班の設置など必要な人的体制の整備・拡充を進めるとともに、一時保
護所の設備の改善・充実を図ること。
七 触法少年の中には、虐待を受けたり、発達障害を有するなど医療的ケアが必要な児
童が少なくないことにかんがみ、児童自立支援施設において児童が児童精神科医等の専
門家による十分な医療的措置を受けられるよう、人的・物的体制の整備・拡充を図るこ
と。
八 少年の非行は、家庭、学校、地域社会等の問題が複雑に絡み合って生じていること
を踏まえ、少年非行の防止や非行少年の更生に当たっては、その処遇を担う機関だけで
はなく、関係諸機関、団体等が有機的に連携し、地域社会と協働した総合的な取組強化
を推進すること。
右決議する。
【4】先週の主な活動
■5月21日(月)
08:00 第747回マンデーレポート
11:30 参議院民主党議員総会
12:00 参議院本会議
■5月22日(火)
08:00 全国ガス友好議員懇談会
09:50 参議院法務委員会理事会
10:00 参議院法務委員会
★少年法改正案について
12:00 民主党・新緑風会常任役員会
12:00 民主党北関東ブロック国会議員団会議
18:15 憲法特別委員会慰労会
■5月23日(水)
08:00 民主党法務部門会議
09:30 参議院民主党議員総会
10:00 参議院本会議
11:00 議員健康診断
12:00 国対・理事合同会議
19:00 ナサニエル・ローゼン チェロリサイタル
■5月24日(木)
09:00 民主党行政書士制度推進議員連盟・総会
09:50 参議院法務・厚生労働委員会連合理事会
10:00 参議院法務・厚生労働委員会連合審査会
12:50 参議院法務委員会理事会
★少年法についての構成労働委員会と連合審査。
下田議員が質問。熱意のこもったとても良い質問だった。
13:00 参議院法務委員会
★少年法についての締めくくり質疑。民主党は千葉景子議員が
120分の大質問を展開した。この日の質問で、衆議院の法務委員会の
質問時間を30分超過することとなった。
★通常、参の質疑時間は衆の7割から8割とされるのが慣行。
この結果は、衆での強行採決の穴埋めを参でさせたようなもの。
★質疑終局後、民主党を代表して修正案を提案し、
提案理由の説明と政府案への反対討論をかねて演説した。
その後、採決、民主党の修正案は、民主、共産、社民の野党会派
ぜんぶが賛成してくれたが、少数により否決。その後政府案が
自公の賛成で可決された。もちろん野党は反対。
★最後に、8項目の付帯決議を私が提案。これは全会一致可決された。
とくに捜査の可視化をめぐって、自民理事の岡田さんと、ぎりぎりの
調整を行った。捜査の可視化に対す警察の抵抗ははなはだ強い。
★すべての手続きが終わった時は6時を回っていた。午前の
連合審査、そして午後の締めくくり質疑そして採決と、今日は
正味8時間を越える長丁場となった。
★憲法特、そして法務委員会の筆頭理事として、とにかく
働きづめの感じ。参議院勝利のため、選挙番ではない参議は
当然のごとく酷使される。これは、長年の慣行である。文句は
言えない。
16:00 民主党政権政策委員会
★法務委員会を抜け出し、佐賀県知事からの要望を受ける。
■5月25日(金)
09:30 参議院民主党議員総会
10:00 参議院本会議
■5月26日(土)
09:00 宇都宮市西地区・西小学校「第4回西地区大運動会」
10:30 民主党栃木県連大会
13:00 栃木県司法書士会平成19年度定時総会
14:00 赤帽栃木県軽自動車運送協同組合第27回通常総代会・懇親会
18:00 斎藤たかあき総合選対解散式
■5月27日(日)
09:30 ねんりんピックとちぎ太極拳交流大会
10:00 栃木県オストミー協会第22回通常総会
14:00 浄蓮社光譽慈喩辨戒七周忌法要