国会通信 No.749

 【松岡大臣の自殺について 他】

2007/6/4 (マンデーレポート749回の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】松岡大臣の自殺について。 【2】消えた年金問題のポイント。 【3】先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 松岡大臣の自殺について。 ● 松岡農水大臣が28日、赤坂の議員宿舎において自殺しました。  戦後の歴史で、現職大臣の自死は初めてのことです。彼とは衆議院の  同期生。そして政治改革の大論戦では、小選挙制度の推進派(私)と  反対派(彼)で、激しい応酬をしたこともありました。  まずは、心からご冥福をお祈りします。 ● その論戦の中で、私自身は強気一点張りの彼の視線が、時々、  ふっと弱まることを感じたことがありました。こわもての印象の  強い彼でしたが、かなり無理をしているのではと感じたことが  何回かありました。自殺後の鈴木宗男さんのコメントなどを参考に  するとあながち私の印象も誤っていなかったのではと感じます。  遺書を総理はじめ各方面に残したこと、そして奥様への遺書は  別扱いにしたことなどに、さまざまな彼の心境が伺われます。 ● 率直に言えば、彼を追い詰めたのは、政権維持に汲々とする  安倍総理のかたくなな対応にあったのではないかと思います。  強気と弱気の交差する毎日の中で、松岡大臣は、辞職すれば  どんなにか楽になれるだろうと何度も想像したのではないで  しょうか。 ● 学閥、閨閥などなく、懸命にのし上がってきた自民党政治家は、  どこかで必ず無理をします。その無理の結果、最後には自らの命を  捨てた政治家の姿を、何人か見てきました。その一方で、無理をしても、  刑務所の壁の内側には、絶対に落ちない、事実上守られた政治家も  かならず存在します。 ● 松岡大臣は、大臣に指名してくれた安倍首相に本当に感謝して  いたようです。しかし、安倍首相は、松岡大臣のほんとうの心境を  理解できたのでしょうか。二人は、同じ自民党の政治家でありながら、  住む世界は、実はまったく別だったような気がします。 ● ただ、特に緑資源の疑惑の追及の手を緩めるわけには行きません。  松岡大臣は、ある意味で自民党政治の犠牲者です。そして、本当に  彼の御冥福を祈るなら、犠牲者を生み出す構造にメスを入れることが  もっとも必要ではないでしょうか。まさに、これ以上の犠牲者を生み  出さないためには、癒着の構造に外科手術を加えることしかないのです。 ● 彼の後任には、赤城徳彦氏が指名されました。そして、間髪をいれずに  緑資源公団の廃止を指示したようですが、どうもそれはおかしいと思います。  癒着構造の実態解明をすることもなく、ただちに「廃止」を指示するのは、  「くさい物にフタ」的なやり方でしかありません。一人の大臣を死に追いやっ  た疑いが少しでもあるなら、きびしい事実解明の実態調査をまず行うべきです。  癒着の構造自体に切り込むべきです。 ● 赤城氏も、実は、自民党一期生、そして河本派の新人議員として同期でした。  政治改革推進の仲間として、派閥の締め付けと戦うために、都内のホテルの一室に  立てこもり篭城戦を仕掛けたこともありました。自民党の癒着構造を打破するため  の、赤城新大臣の蛮勇を期待したいところです。 【2】 消えた年金問題のポイント ● 松岡大臣の衝撃的な自殺が、安倍総理を暴走させています。  審議ゼロの時効特例法案を含む年金二法案の強行採決、そしてさらには、人材バンク  という天下り推進・合理化法案の強行採決の構えなど、国民を置き去りにした暴走  国会が、大暴れしています。 ● 参議院は、安倍総理の独裁的な暴走を絶対に許しません。月曜日の本会議から、  年金関係の法案の審議が参議院で始まりますが、自公政権の年金法案が、いかにいい  加減なものかを明らかにし、年金制度を立て直すためには、もはや自公政権では不  可能であることを 明らかにしていかねばなりません。 ● 以下に、消えた5000万件の年金記録の問題のポイントを簡単に説明します。 《1》 なぜ5000万件の年金記録は宙に浮いてしまったのか。 公的年金制度全体では、平成9年度時点で年金番号は全体で3億件ありました。 それらをコンピューター化する新制度がスタートします。それまでの手書きの 台帳に記録されてあった記録をコンピューターに移行する作業が始まりました。 この移行過程で大量の入力ミスが発生しました。その件数が5000万件ということです。 この大量な誰のものかわからない記録が生じたのは、自己申告制の建前の中で、いい加 減な移行作業をおこなった社会保険庁に全責任があることは いうまでもありません。 しかし、これは単なる入力ミスにとどまりません。現在の年金給付は、「基礎年金番号」 をキーに本人の納付記録をコンピュータ上で確認し、この納付記録に基づいて給付額 を確定させることになっています。その結果、基礎年金番号の無い納付記録は給付額に 反映されないことになります。 加入者本人にとっては本来受けるべき給付額よりも低い額しか受け取れないことになっ てしまうのです。また、年金の連続が切れてしまって支給対象からはずされる人も出て きます。 10年間の移行作業を行いながら、年金記録が誰のものなのか分からない、そしてその件数 が5000万件に及んでいる、そして不払いや、少額支払いの実害が生じている、これが日本 の年金の現状なのです。 制度導入のときの厚生大臣は菅直人だったなどと、安倍総理は卑劣な責任転嫁を行って います。しかし、そのときの総理大臣は自民党であり、移行作業のミスを行い続けたのは 歴代自民党政権のもとでした。安倍総理の幼稚な言いがかりは笑止千万です。 まずは、5000万件の年金記録が、誰に関するものなのか、全力をあげて政府の責任で精査 すべきです。 《2》 政府の責任による全件調査を行うべきです。 今回の消えた年金問題は以上のとおり政府の責任によることは明らかです。 したがって、議員立法以前の問題として、消滅滅時効の利益を政府が主張することを 許してはならないと思います。 また、領収書等の提示を要求するなど、支払いについての立証責任を国民に求めるの も誤りです。国民は、年金支払いの事実とその社会的な背景(勤務先、勤務年数など) を述べれば十分であり、政府の側に年金不払いの具体的な事実の立証責任を負わせるべ きです。 さらに、この期に及んでも政府は自己申告制度を盾にして、国民からの申告を まって対処する姿勢を変えませんが、それは即刻改めるべきです。宙に浮いた 年金記録の関連付けの責任は、5000万件すべて政府が負うべきです。 《3》 すべての台帳あるいはマイクロフィルムの緊急総点検をすべきです。 コンピューター化する以前の年金の記録は手書きの台帳に保管されていました。 東京都のように膨大な量に及ぶ場合はマイクロフィルムに保存されています。 民主党の長妻議員の報告によれば、社会保険庁に執拗に要求し続けたら、 最初は存在していないと言い張っていた台帳が、役所の倉庫の奥深くから 出てきた実例まであるとのこと。一人ひとりの国民にとって、本当に 重要な基礎データが、役所の倉庫の奥深くに隠されているかもしれないのです。 社会保険庁の解体も結構ですが、それを好機にして、台帳やマイクロフィルムが 知らない間に闇から闇へと葬られるようなことがあってはなりません。 解体は、この突合せが終わってから行うべきです。 《4》 安倍政権の時効特例法案で救済されるのは公認被害者25万人だけ。 民主党の分析によれば、「消えた年金」問題の被害者は3つに分類されるべきだ と指摘されています。そして、政府の時効特例法によって救済されるのは、この うち政府が認める公認の被害者だけ、その数もたったの25万人でしかないことを 認識すべきです。ほんの少し前進かもしれません。しかし、5000万件の入力ミス から比べるときわめてわずかであることは明らかです。全体的な問題のすりかえ であり、国民の目くらましであることは明らかです。 〔公認被害者〕 給付不足を政府が認めたが、過去分については時効が適用され、給付不足全額を受け取 れなかった国民。与党が国会に提出した「時効特例法案」の対象者であり、この法案を 審議した3月30日の衆議院厚生労働委員会で25万人という人数を明らかにした。 この25万人は、納付記録の誤りが社会保険庁に認められ、この訂正した記録に基づき 本来の年金給付を受け取れることになった。しかし、訂正時点からさかのぼって過去5 年分の給付不足は給付されたが、5年を超える分の給付不足分は5年の時効が適用され 、給付されなかった。今回の与党案はこの5年の「時効」を撤廃するものであり、その 結果、一度給付を拒否された分(950億円=政府推計)の給付を受けられることになる。 〔非公認被害者〕  加入者本人は納付したと主張するが、社会保険庁がこの主張を認めずに記録の訂正に 至っていない被害者。昨年8月から今年3月までの間に215万人が社保庁に自分の年 金記録の相談に来ているが、その1%にあたる2万635人が社会保険庁の記録漏れ( 本人は払ったと主張するが、社保庁には記録が無い)を主張するが、領収書などの証拠 がないために社保庁は受け入れていない。 〔潜在被害者〕 本人は気づいていないが、納付記録が誤っている、消えている被害者。 宙に浮いた年金記録が5000万件にも及ぶこと、5000万件の内2880万件は既 に受給年齢に達しているはずの加入者であり今、現在給付不足が生じている可能性が高 い。 《5》 参考資料 重要な6つの数字 @ 5095万1103件  (平成18年6月1日現在)  ○年金支給に結びついていない「宙に浮いた」保険料納付記録  ○内訳:国民年金1128万9282件、厚生年金3966万1821件 A 1866万7317件  ○5000万件のうち、受給年齢でなおかつ存命の可能性が高い方の記録  ○内訳:国民年金366万7662件(65−79歳) 厚生年金1499万9655件(60−79歳)  ○60歳以上のすべての方と生年月日不明の記録は、2880万5232件 B 30万1841件  ○5000万件のうち、「生年月日不明」となっている記録 C 84人  ○社会保険庁には年金保険料の納付記録がなかったが、   本人が領収書などをもっていたため、記録が訂正された件数。   記録が消えたことを社会保険庁が認めた人数(平成18年8月21日〜12月28日)。  ○84件中、29件は社会保険庁又は市町村の資料に納付記録があることが判明。残   る55件は、完全に記録が消失。 D 2万635人  ○本人は、年金保険料を納付したと申し出ているにもかかわらず、記録がないとして   申し出を却下した人数。 (平成18年8月21日〜3月31日)  ○内訳:1万7438人は申し出た内容のすべてについて記録なし、3197人は申し出た内容   の一部の記録しかなかった。 E 21万8474人  ○社会保険庁のミスなどの理由で、国民年金及び厚生年金の受給額が受給途中に変更に   なった人数。(裁定変更、平成13年度から平成19年2月末分) 【3】先週の主な活動 ■5月28日(月) 08:00 第748回マンデーレポート ■5月29日(火) 09:50 参議院法務委員会理事会 10:00 参議院法務委員会 ★ 更生保護法改正案 趣旨説明を聴取しました。 12:00 民主党・新緑風会常任役員会 18:00 森田実「アメリカに使い捨てられる日本」出版記念会 ■5月30日(水) 09:30 参議院民主党議員総会 10:00 参議院本会議 12:00 参議院民主党国対・理事合同会議 13:00 民主党企業団体対策委と全国FC加盟店協会との意見交換会 ★ FCとはフライチャイズ・チエーンのこと。  日本には コンビニをはじめ、大小さまざまなフランチャイズ・チエーン店が  あります。美容やエステなどさまざまな分野を全部をひっくるめると、加盟店は20万  店をこすとのこと。しかし、それらを網羅する法律がありません。  そのために、多くのトラブルが起こっています。その実情を聞かせていただきました。 15:00 参議院国家基本政策委員会 ★ 党首討論を応援傍聴しました。  消えた年金問題に焦点を絞っての質問。立証責任についてのやり取りは小沢代表のほうに  軍配が上がったのではないでしょうか。 16:30 下野新聞取材 17:00 民主党政権政策委員会 ★ 参議院選挙の争点について赤松広隆委員長のもとでブレーンストーミング。やはり 「年金」「格差」「天下り」の3点にしぼるべきだとする考え方で一致しました。 18:00 民主党小沢代表との懇談会 ■5月31日(木) 09:50 参議院法務委員会理事会 10:00 参議院法務委員会 ★ 更生保護法改正案について質疑。松岡参議院議員が、人権を守る長年の闘争経験に  基づいた鋭い質問を展開し、おおいに感心しました。 ■6月1日(金) 09:30 参議院民主党議員総会 10:00 参議院本会議 12:00 民主党法務部門会議役員会 13:30 民主党「消えた年金・社保庁改革集中勉強会」 ★長妻、山野井衆議院議員から消えた年金問題についてご教示いただきました。 (上記【1】参照) 18:00 山田みやこ総合選対解散式 ★ 県議選で3選を上位当選で飾った山田県議の船体解散式で祝辞を述べ、ただちに  宇都宮駅に戻り、新幹線で小山駅に向かいました。 19:30 谷ひろゆき下都賀選対「07年参院選勝利決起集会」 ★ 谷参議院議員の必勝をねがって激励挨拶。(下都賀ブロック民主党講演会) ■6月3日(日) 07:15 「梶原しげるのNextOne」 fm東京 ラジオ番組に電話出演。 13:00 民主党栃木県連「消えた年金」問題追及街頭宣伝 ★宇都宮市 二荒山神社前と ベルモール店前の2箇所で訴えました。  普通のときよりも かなり反応は良かったように感じました。配ったビラの受け取り  も良かったように思います。 安倍総理の支持率低下が宇都宮でも実感されました。