国会通信 No.750

 【被害者参加の刑事訴訟】

2007/6/18 (マンデーレポート750回の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】被害者参加の刑事訴訟法改正案の審議スタート。 【2】法務大臣の不動産登記法違反は恥ずかしい。 【3】被害者刑訴法案の質問要旨。 【4】先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 被害者参加の刑事訴訟法改正案の審議スタート。    (法案の正式名称は=「犯罪被害者等の権利保護を図るための    刑事訴訟法の一部を改正する法律案」) ●参議院の法務委員会では先々週から、被害者参加の  刑事訴訟法改正案の審議が始まりました。会期末ぎりぎりの  緊迫した状況の中で、年金、教育、イラク、そして公務員の  最も注目される4委員会ほどではありませんが、野党筆頭理事  としておろそかな対応は絶対に許されない、今国会最大の重要法案  です。 ●衆議院では、民主党は抜本的な修正案を出しましたが、  賛成少数で否決。そののちに政府案に賛成するといった対応でした。  日弁連も、この法案に反対の会長声明を出していますが、  被害者救済を主張する強い賛成意見もあり、一枚岩には  なりきれていません。 ● 法案のポイントは 1 生命・身体等に対する殺人や傷害などの故意犯の被害者側について   刑事訴訟への参加申し出の制度を創設。   (=証人尋問、被告人質問、論告求刑が一定の要件のもと、検事とは   別個に行うことが出来る。) 2 犯罪被害者の側の氏名などの情報保護の制度を創設する。  3 民事訴訟で、法廷の外に被害者を置きビデオで結ぶなど(=ビデオリンク)の措置   を導入する。 4 1の被害者について、刑事裁判の結果を、民事の損害賠償請求に結びつける事がで   きるようにする。(損害賠償命令) ●法案に反対する意見の理由は、被害者参加人が、検察官とは別の  求刑意見を述べるなど、この法案によって裁判が復讐の場になって  しまうのではないか、重罰化の傾向が強くなるのではないか、裁判員  制度の制度設計に被害者参加が考慮されていないなどです。 ●しかし、被害者側が、警察・検察・裁判のそれぞれのプロセスで  配慮の行き届いた対応が取られてこなかったことも、これまた間違いの  ない事実です。要するに、戦後の新刑事訴訟法導入の際の精神的基盤で  あった「当事者主義」の基本がしっかりと根付いてこなかったことが  最大の問題ではないかと私は考えます。 ●「当事者主義」の根底に流れる思想は、すべての国民の人権尊重です。  それは、被害者・加害者の両方の人権に対する、公平かつ平等な尊重  でなければなりませんよね。しかし、戦前に焼き付いた被告人への人権  無視のほうがより強烈に前面に出てしまった結果、もう一方の被害者側の  人権への配慮は、戦前のままの官尊民卑の職権主義的取り扱いのまま  放置されてきた。この法律の背景をなすのは、このような置き去りにされた  被害者側の人権という問題だったと考えています。   ●だから 今回の法律への理解としては、職権主義の強化とか、  当事者主義への「反省」と考えるべきではないと思っています。  むしろ形式的な当事者主義を、実質的な当事者主義に拡充することだと  考えます。 ●またもう一つ大きいのは今回新たに導入される、損害賠償命令です。  殺人や傷害の被害者側は、2000円の手続き費用を支払えば、  請求の趣旨(=請求金額)を申し立てるなどの簡易な手続きで、  民事判決と同じ効力を持つ決定を裁判所からもらうことが出来るように  なります。過失犯や財産犯は対象外とされており、犯罪被害者のなかに  一部不平等をもたらすなど問題点もありますが、これも被害者側の  権利救済にとっては前進であることは間違いないと思います。 【2】 法務大臣の不動産登記法違反は恥ずかしい。 ●14日(木)の法務委員会で被害者刑訴法案について90分  質問を行いましたが、質問に先立って 当日の毎日新聞に掲載された  長勢大臣の不動産登記法違反の記事に関連する質問を行いました。 ●質問はご本人の大臣と不動産登記法を所管する法務省の寺田民事局長  に対して行いました。祖父の時代に登記された建物を、同一性を失うほどの  大改造しておきながら「変更登記」を怠ったとしていたら、大臣は  過料10万円は払わねばならないでしょう。答弁では、そのことを  認めさせました。同法の所管大臣としては恥ずかしい限りです。 【3】 被害者刑訴法案についての質問要旨 ●質問要旨は以下の通りです。なお、分かりづらい専門用語もありますので  参議院法務ページの議事録を参照して頂ければ幸甚です。 質 問 要 旨                2007年6月14日                       参議院議員 簗瀬 進 1 刑事訴訟法における「当事者主義」の意味、その歴史的な意義をどのように理解し   ているのか。                    (法務大臣)  2 わが国の犯罪被害者やその家族の多くは、わが国の刑事司法に対して、   個人の尊厳が奪われた等の大きな疎外感や喪失感を抱いてきた。司法行政   と警察行政の責任者として、その原因がどこにあると認識しているのか   質問したい。                  (法務大臣・警察庁長官) (1)検察への不信感の実例(参考人 サリン事件の被害者 高橋さん)     ※ 被害者が自分の供述内容を記録として保持できない。     ※ 証拠物として押収された亡夫の臓器の所在すら知らされない。     ※ 立証に際しての検察官に対する満足度10%。 (2)取り調べ段階における警察の被害者への配慮を欠いた対応。     ※ 栃木県警石橋署における須藤さんの事件 3 これらの被害者の疎外感の背景にあるのは、   刑事裁判の構造問題より以上に、戦前戦後を通じて根強く残ってきた   刑事司法の底流に流れる官尊民卑主義ではないか。     (法務大臣)   新たに導入された当事者主義の本当の意味を理解せぬまま、形式的に運用してきた   結果が、被害者の著しい疎外感に繋がってきたのではないか。                              (法務大臣)  4 今回の立法は、被害者の存在を無視してきた刑事司法全体への大きな反省を迫るも   のである。問題の本質は、被害者の人権とプライバシーに対する      刑事司法全体にわたる暖かい配慮を徹底させることであると思うが、   具体的にどんな対応をし、今後どんな指針で臨もうとしているのか。                       (法務大臣・警察庁長官) 5 被害者参加の手続き(316条の33)について                 (法務大臣)  (1) 1項の参加対象となる犯罪について        @ 対象犯罪を限定した趣旨は?  A 裁判員対象事件となっていて、被害者参加の対象になっていない   犯罪があるか。(放火 通貨偽造) B 損害賠償命令について 業務上過失致死傷罪を除外した趣旨は? (2) 裁判所が、参加を「不相当」と認める場合は、どんなことを想定     しているのか。(1項) (3) 「あらかじめ」とはどんな意味か。「意見」とはどんな内容か。     「通知」の具体的なやり方は。(2項) 6 被害者参加人の権限(316条の35)について                 (法務大臣) (1) 「この法律による検察官の権限行使」とはどんな意味か。 (2) 「必要に応じ、〜 理由を説明しなければならない。」とあるが、     説明不要の場合もあるのか。また説明すべき「理由」の具体的な内容は。 7 被害者参加人の証人尋問(316条の36)について                 (法務大臣) (1) 1項 「情状に関する事項」に限定し、「犯罪事実に関するもの        を除く」とした趣旨は? (2) 2項 「尋問事項を明らかにして、直ちに」などは不可能ではないか。        また「検察官が自ら尋問する場合を除く」としていることの意味は?        8 被害者参加人の意見陳述(316条の38)について        (法務大臣 (3)のみ最高裁) (1) 刑訴法292条の2 一項との関係。     どこが違うのか。優先・劣後の関係にあるのか。 (2) 292条の2の解釈について     @ 意見の陳述は「心情関係」に限定されるのか。 (大沢参考人の発言)      A 「その他の被告事件に関する意見」には、316条の38の       「事実又は法律の適用について」の意見を含むのか。  平成17年度における被害者の意見陳述774件、  書面提出243件の具体的な内容は?  (法務省資料 白表紙3ページ 青表紙 115ページ) (4) 「証拠とならない」(316の38) の意味。     「犯罪事実の認定のための証拠とすることができない」の意味。 9 附則10条の「必要な施策」として、どんな施策が可能か。 (法務大臣) 10 損害賠償命令について                 (法務大臣)  (1) 被害者にとっては、申し立て費用や、審理回数、主張立証の簡易さなど、被害     回復には大変な進歩だが、被告人にとっては、民事対応の弁護士の手当、審理への出席     確保、民事移行への申し立てなしなど、かなり不利になる。バランスを失してはいない     か。  第9条2項2号の解釈について。 「請求の趣旨」の具体的内容、    「訴因として特定された事実」とは。    「その他請求を特定する事実」とは。 損害額の確定については、逸失利益の算定等、訴因には 含まれない様々な事実があるが、その主張立証はどのようにして 行うのか。 危険運転致死罪(損害賠償命令の対象)、と自動車運転過失致死罪(対象外)とのバラ ンスは?  【4】先週の主な活動 ■6月11日(月) 09:00 日米欧総合安全保障議員協議会(NATOPA) 訪日団の歓迎挨拶 ★私は、超党派の議員連盟である日米欧安全保障議員協議会に参加し  その副会長を務めていますが、欧州各国の議員団が久方ぶりに訪日  しました。この日はその初日。30分弱の意見交換でしたが、欧州  議員からは、北朝鮮へのわが国の外交姿勢や、アゼルバイジャンの  レーダー基地を米ロで共同使用する旨のプーチン提案についてなどが  質問され、これに対しては会長の高村さんが応答しました。 10:30 参議院民主党議員総会 11:00 参議院本会議 13:00 下野新聞取材 16:00 民主党知的財産制度改革推進議員連盟・特許庁視察 ■6月12日(火) 09:50 参議院法務委員会理事会 10:00 参議院法務委員会 ★被害者参加刑事訴訟法改正案について質疑。前川議員が120分の  質問を行いました。 12:00 民主党・新緑風会常任役員会 13:00 参議院法務委員会再開 18:30 谷ひろゆき佐野地区総決起集会 ★選対委員長として 激励演説。 ■6月13日(水) 08:00 民主党法務部門会議 09:30 参議院民主党議員総会 10:00 参議院本会議 12:00 参議院民主党国対・理事合同会議 12:50 参議院法務委員会理事会 13:00 参議院法務委員会参考人質疑・質問 ★被害者参加の刑事訴訟法改正案について、テーマ別の  参考人質疑を行いました。第1回目は「刑事訴訟の構造問題」、  第2回めは「損害賠償命令問題」でした。 21:30 各省庁質問レクチャー ■6月14日(木) 08:00 民主党財務金融・法務合同部門会議 09:00 参議院法務委員会視察  【桐蔭学園メモリアルアカデミウム、東京地方裁判所】 ★(上記【1】参照) 13:20 参議院法務委員会理事会 13:30 参議院法務委員会・質問 ★ 90分の質問を行いました。(上記【2】参照) 18:30 国会コーラス愛好会・改選議員壮行会及び引退議員慰労会 ■6月15日(金) 09:30 参議院民主党議員総会 10:00 参議院本会議 10:15 参議院法務委員会理事懇談会 11:00 参議院議長主催 任期満了議員の送別会 ★参議院自民党のドンと言われる青木会長としばし歓談。  もちろん興味の焦点は会期延長問題。青木さんは、  問わず語りに「私は、参議院での審議は慎重に慎重にという  方針でやってきました。重要法案については、最低でも  20日はかける、その方針は崩したことはないんですがね、、。」  そんな青木さんの言葉から、これは会期延長の決意を固めているナーと  強く感じた次第です。それも5日程度の短期ではなく、もう少し  長そうだなと感じました。 12:30 下野新聞取材 ★自民党の茂木さん(衆)と、年金問題について紙上討論の企画が  持ち上がり、取材を受けました。土日にかけて掲載されるようです。 18:30 谷ひろゆき芳賀地区選対「民主党講演会」 ★益子町アプローズで開催。選対委員長として冒頭に挨拶しました。 ■6月16日(土) 17:00 宇都宮高等学校同窓会総会 18:00 金田貞夫君を励ます会 ★この度 28年間の市議生活に終止符を打った金田さんを  励ます集いに出席。 20:00 青柳さんを弔問。 ★時々 無性に食べたくなる焼きそばの名店「青柳」の  おじさんが亡くなりました。心からご冥福をお祈りします。 ■6月17日(日) 11:00 笠間淳夫能発表 ★妻の親戚の笠間さんが「半蔀(はしとみ)」という能のシテ(主役)を  演じることとなり、ワープロでうった長文の解説書つきの丁重な招待状を  頂きました。妻と共にひさしぶりの観能。飯田橋の能楽堂。