国会通信 No.761

 【「同意人事」制度にクサビを打ち込め】

2007/10/1 (マンデーレポート761回の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 官僚政治の核心=「同意人事」制度にクサビを打ち込め。 【2】 Who is 福田康夫 ? 【3】 先週の主な活動 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】 官僚政治の核心=「同意人事」制度にクサビを打ち込め。 ●にわかに「同意人事」が脚光を浴びている。今週火曜日には、この問題について  衆参の野党国対委員長が集まって議論することになった。 ●細かくあげると、任命について国会の同意が必要なポストは250前後ある。  年内に任期が切れるものをあげると、運輸審議会委員(3名)、国家公安委員会委員(1  名)、NHK経営委員会委員(3名)など23名にのぼる。また注目されているのは来年3月2  9日に任期を迎える日銀総裁である。 ●同意人事の対象は、大物から、あまりマスコミから注目を浴びないものまで、  多岐にわたる。しかし、共通しているのは、霞ヶ関の官僚たちが、業界を巧みに操縦す  るための重要なツールであるということだ。さらに、政官業の癒着構造を培養し、維持  していくための最重要な装置が同意人事である。自民党は、重要な人事の同意権を持つ  ことによって、官界と業界を間接的に支配し、そこから「票」も「カネ」も引っ張り出  そうとする。霞が関は、候補者の事実上の推薦をおこなうことで、自民党の業界支配の  共犯者となってきた。この癒着の構造の鍵を握る同意人事システムにクサビを打ち込め  るかどうか。このことこそ、政治を官僚の手から国民の手に取りもどすためのキーポイ  ントである。 ●いま、この同意人事が脚光を浴びるようになっているのには理由がある。  参議院で民主党が第一党になったことはもちろんであるが、予算、首班指名、  条約、法律など憲法上の規定で衆議院が優位になっている中、人事案件の  国会同意については、衆参の議決の価値は完全平等であるからである。  すなわち、参は、国会の同意人事については、拒否権を持ったのである。 ●いままで、非常に軽視されてきた情報提供は当然のこととして、たとえば  アメリカの議会で行われる委員会での質問なども含めて、厳しい対応を  すべきである。私は参議院になってから、このことに常に関心を持ち続けてきた。  火曜日の衆参野党国対委員長会議にご注目いただきたい。 【2】 Who is 福田康夫 ? ●10月1日、敵前逃亡の前総理による国会空転、そして不毛な茶番劇による  政治空白の後を受け、ようやく福田新総理の所信表明が行われる。まずは、  福田総理に要求したいのは、まずは自分の考えを率直に語ってもらいたい。  ぜひともそうしてほしい。なぜなら、総理が何を考え、何をやろうとしているのか、  国民にも、そしてわれわれ議員にもほとんど分からないからである。 ●私は、総理と衆議院で同期当選である。しかし、大激動の政治改革論議の  時ですら「福田康夫」の姿はまったく見えなかった。「改革」「守旧」で大激論を  交わし、自民党総務会が怒号と野次の嵐に見舞われたときも、彼の発言は  まったく記憶に残るものがない。これは実に不思議なことである。同期で閣僚に  なった者は、石原、中谷、小坂、佐田、松岡、赤城、など相当数になる。  その誰もに、私は何らかの印象的な発言の記憶がある。しかし、福田氏には  それがない。基本的に福田康夫とは何者なのか。福田フー?なのである。 ●記憶に残る発言なし。閣僚経験は官房長官のみ。歴代で在任期間は  最長だそうだが、なにしろ「女房役」の官房長官だから、とくに論評すべき  政治的な決断や実績も残っていない。福田赳夫の長男というイメージしか  ない。追求の焦点をどう絞るか、正直苦労させられそうである。 ●そんな福田総理だが、領収書の改ざんをやり、公共事業関係企業から  献金を受け取った事実が早速明らかとなった。政策的には不透明だが、  体質はやはり自民党的であることは明らかなようだ。しかも、違法行為を  「汗顔の至り」などと難しい言葉でごまかそうとする。汗顔とは「恥の世界」  のこと。しかし福田総理のやったことは「倫理」の世界を超えた、「違法」の  世界のことである。父親譲りのオトボケで本質をごまかそうとしているのは  許せない。 ●こんなことを考えていると、長年の友人でありSNETの読者である  I氏からメールが来た。福田氏についてはなかなか面白い観察であると  思った。以下に抜粋して引用したい。  ただ、私自身は、メールにある福田さんのいわゆる「リベラル」が、「ドグマ」と  言えるほど深いものかどうかはちょっと疑問だし、また、福田さんの性格は  論理的というより意外に切れやすいタイプなのではないかと思ったり、  さらに、論理のドグマの結果で民主党の政策に乗るほど福田氏は  甘くないと思ったりするものの、「小沢総理の官房長官」にしてしまえと  いう飛躍が面白いので、この時期のひとつの福田康夫観として、  記録しておきたいと思った。ご賞味ください。 ************************************ 《I氏からのメール》 簗瀬先生 いつもメルマガを興味深く拝見させて頂いております。 (略) 巷では麻生さんより福田さんが首相になった方が民主党はやりにくいだろうと言 われていますね。私も安倍さんが辞任した瞬間に次は福田さんが来るだろう…来 たら民主党はしんどいだろうと思っていましたが…。 しかし、よく考えるとそうでもないなと思うようになりました。 以下がその理由です。 ●故森嶋通夫氏の言うようにドグマが強すぎる政治家は権力を握ったとたんに自  滅が始まる…安倍さんがまさにそうですし、麻生さんもそういうタイプです(小  泉さんもそうでしたが、したたかな「現実政治家」でもあったため切り抜けるこ  とが出来た)。 ●福田さんは調整型で現実主義者、麻生さんとは違いリベラル…よってドグマを  打ち出して引っ張るタイプではない。それ故民主党に近いため民主党は攻めにく  い……しかし、物腰柔らかそうではあっても意外に頑固…とも言われています。  この辺が小泉政権下で官房長官を途中辞任した原因だと思われます。 ●福田さんに目立つような強固なドグマはないように見えますが、実はこの「リ  ベラル」であるというところが福田さんにとってのドグマであると思われます。  政治家ですからドグマはあって当たり前ですし、それは必要ですので、この程度  はとは思いますが、調整型で柔軟な故にこの「リベラル」は絶対に譲れない線だ  ろうと推察できます。そもそもプライドの高い人だとも聞いています(皮肉屋の  人はだいたいそうです)。 ●また、大変頭脳明晰な方ですので論理的な思考をするタイプだと思います。  論理的思考をする人は、筋論や理の通った話しに弱い…福田さんの普段の発言に現  れていると思います。しかし、官僚的発想をする人でもあるので、自らのアイデアで  局面を打開するというよりは、色んな意見を聞いてそれを取り込んでいくタイプである  とも言われています。 ●よって、民主党は考え方が近いからやりにくいと思うより、筋の通ったリベラ  ル色のある福田さんとしては反対しにくい法案・提案をぶつけていくことだと思  います。参議院を民主党が握っている関係もあり、民主党の案を福田さんが却下  していったりもっと有効な対案を出してくるのは考えにくいと思います。  そうすると福田さんは「党利党略ではなく国民のためだ」ということで民主党案  に乗らざるを得なくなる…。少なくとも国会の論議の中でそういう発言を引き出  すことが寛容と思います。 ●そして、福田さんに「なんだ、これじゃ小沢総理の官房長官じゃないか」と言  われるようなレッテルや印象をつけてしまうことではないでしょうか。  これがうまくいけば民主党の政権担当能力の証明にもなりますし、なにより自民  党内のタカ派的勢力の反発が生まれるでしょう。  しかし、そうなればなるほど唯一の「ドグマ」を固持するため福田さんの頑固さ  が前面に出てきて党内が混乱し始め、結果、嘗ての「三木おろし」のような事態  が生まれるのではないかと思います。  そうすれば、それによって解散に至ることさえ期待できます。 ●福田さんを攻撃するというより、福田さんが断れないようなリベラル路線の提  案を民主党が公の場面でぶつけていって、「福田は自民党より民主党により近  い」と思わせる事が出来たなら(国民にも自民党にも)、総選挙は早まりますし、  政権交代が実現するのではないか…。      (略) 【3】 先週の主な活動 ■9月25日(火) 10:00 民主党役員会 11:00 民主党常任幹事会 ★参議院民主党の国対委員長になって、つくずく思うのは、  重要な会議が目白押しになったこと。火曜日は、党本部の  「役員会」からスタート。毎週、小沢代表、菅代表代行、そして  鳩山幹事長臨席のうえで、民主党の基本戦略をはじめとする  重用課題を論議する。そしてその1時間後には、常任幹事会。  ここが民主党の意思決定機関。そのいづれもで、参議院の  状況報告をするのだから緊張する。   12:50 民主党参議院議員総会 13:30 参議院本会議【首班指名選挙】 ★決選投票の結果、小沢一郎氏が総理大臣に指名された。  非自民の指名は9年ぶりのこと。 15:00 参議院本会議【両院協議会選挙】 ★「小沢」と書いた会派から10名が両院協議会の議員に指名された。  民主党からは、三役、副会長、議運筆頭理事の計7名、私も三役の  一員として指名を受けた。他の3名は、共産、社民、国民新党から  選任された。   15:15 両院協議会 16:00 両院協議会 17:00 参議院本会議【両院協議会報告】 ★両院協議会の議決はまとまらず、憲法の規定によって  衆議院指名の福田康夫氏が新総理大臣となった。 17:15 民主党参議院国対報告会 ■9月26日(水) 08:00 第760回マンデーレポート 11:30 民主党参議院国対役員会 12:00 民主党参議院国対・理事合同会議 14:00 民主党参議院国対委員長定例記者会見 17:00 「車と社会を考える政策フォーラム」第9回総会・懇親会 ■9月27日(木) 10:00 厚生労働委員会会議 ★参で提案を予定している主な議員立法は以下の4つ。  その提案や審議についての基本的な方向性を議論した。   1 年金流用禁止法案   2 障害者自立支援法の修正案   3 B型C型肝炎対策法案   4 子ども手当て法案 11:20 国土交通省官房長面会 11:30 民主党参議院国対役員会 12:00 民主党参議院国対・委員長・会長・NC大臣会議 ★国対委員長として私が主催する主な会議は、  火曜日の国対・理事合同会議と、隔週で水曜日に行われる、長い名前のこの会議。  第1回目のこの日は、内藤、峰崎、渡辺(秀)、など活発な発言が  相次いだ。特に「同意人事」に関する発言が多かった。(参照【1】) 17:30 芸術家会議第36回総会 ★10年ぶりの本人出席ですねと大いに冷やかされた。  会長の声楽家伊藤京子先生と歓談できたのはうれしかった。 ■9月28日(金) 09:30 民主党参議院議院運営委員会理事と打合せ 10:00 民主党・自民党参議院国対委員長会談 12:30 内閣府事務次官面会 12:35 参議院政治倫理審査会委員部レク 12:45 日本銀行審議役面会 12:50 経済産業省官房長面会 13:00 中国大使館葛参事官面会 13:30 外務省大臣官房参事官面会 14:00 民主党参議院国対委員長定例記者会見 ★国対委員長としての定例の記者会見は週に2回。  水曜日と金曜日に行うのでなかなか大変だ。 ■9月30日(日) 09:00 住吉保育園運動会 10:00 関東自動車労組第41回定期大会 11:45 谷田部理恵様結婚式 14:00 2007年度AJAF第1回オープンジャパンカップアームレスリング開会式