国会通信 No.821
【ばらまき補正予算】
2009/5/11 (マンデーレポート821回の要旨)
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【1】 ばらまき補正予算はこの国を間違いなく破綻させる。
【2】 「資本主義はなぜ自壊したか」から、3つのエッセンス。
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【1】 ばらまきの補正予算はこの国を破綻させかねない。
●麻生政権は、「100年に一度の経済危機」を口実に、巨大なばらまき補正予算を
国会に提出した。本予算とあわせると100兆円を超えることが与党の「売り」だが、
税収を公債収入がはじめて上回ると言う、国家財政の破綻路線を明確に選択したことも
間違いないことである。まさに、国家破綻の坂道を急発進しかねない危険な
政策選択をしたと言えるだろう。
●しかも、補正予算13兆9000億円のうち、4兆3674億円が、補正予算の本質である「緊
急性」とは無縁な、46の「基金」に当てられているのだから、常軌を逸した無謀な予
算案といわざるを得ない。
●基金の細目を見ると、46基金のうち22が農林水産分野。
森林整備、耕作放棄地の再生などで計7000億円を計上。1兆円の農水予算の7割が基金方
式になっている。
また、社会保障関係では、非正規労働者への再就職支援(7000億円)、介護職員の処遇
改善などの助成(4773億円)など11の基金に計2兆8000億円を盛り込んでいる。
●そのすべてが悪いとは一概に言えないが、まず、基金と言う名の通り、実施団体に
丸投げして、複数年度にわたる支出が予定されることになるから、事業全体の精緻な
組み立てが杜撰になりかねない。政策効果の厳密な評価などそっちのけである。
さらに予算執行の管理が不透明になり財政規律を損ねる懸念がある。
単年度主義の予算原則を根本から覆す禁じ手の連発である。
●それ以上に心配なのは、すでに廃止が決まった団体や、天下りの受け皿になっている
団体などにも、巨額な基金が支出されるものすらある。これでは、火事場の焼け太りで
あり、許せない「天下りの拡大再生産」である。
●質問では、細野議員が、「地域産学官共同研究拠点」の全県整備を取り上げた。その
ために「科学技術振興機構」に695億円を支出することになっているが、
「機構側から(所管の)文部科学省に予算要求もない。」という事実を指摘。
現場から必要性の指摘すらない「いいかげんな予算だ」と批判した。
●現時点でも、各種研究機関への予算が、実は多すぎて消化しきれず無駄遣いの
温床となっているなどといった話を仄聞しているが、美名と大義名分の下に
厳密なチエックや政策評価が行われず、無駄遣いを許しては絶対にならない。
●自民党の大島国対委員長は、すでに13日(水)に予算を衆議院で可決するなどと
吹聴しているようだが、そんな短時日で可決することなどできるわけがない。衆議院予
算委員会は徹底した議論をつくすべきである。
【2】 「資本主義はなぜ自壊したか」から、3つのエッセンス。
●この連休中、中谷巌さんの上記著書を読了した。
まず小泉改革の指導的立場だった自分自身を、徹底して自己批判した点に感動した。あ
れくらいの著名な学者であって、なかなかできることではないと思った。
さらに、初めてアメリカ留学したころにさかのぼって、自らの清純時代までさかのぼっ
て、率直に語りかけてくる語り口にも、本当に畏敬の念を覚えた。
ただ、その論拠が、経済学的というよりも、文化人類学的な点に偏っているのには
少し残念な印象もあるが、逆にそれは、やむにやまれぬ切迫感を意味しているのかもし
れないと思った。
●以下、中谷さんの著書の中で、特に興味を感じた3点についてレポートします。
(本日は(1)のみとさせていただきます。次回に(2)、(3)を掲載します)
(1) 日本の貧困率は世界ワースト2位
「2008年10月に発表されたOECDレポートによれば、この20年間で日本の所得
再配分が大きく変化している様子が明らかとなる。特に『貧困率』の国際比較が圧巻で
ある。」
「貧困率とは、それぞれの国の勤労者のうち、中位所得者が稼いでいる所得の
半分以下の所得しか稼いでいない貧困者(の数)が、全勤労者に占める比率
のことである。」
「中所得者の稼いでいる所得」(=所得の中央値)とは、
その国の人々を所得順にいちれるに並べた場合、その中央に位置する人
(=人口1億人だったら、所得順に上から並べ、ちょうど5000万人目にあたる人)の
所得額のこと。
人口が1億2000万人としたら、所得の順に全員を縦に並べて、ちょうど真ん中の
6000万人目の人の所得を調べる。そしてその人の所得の半分以下の人の数を
さらに調べる。半分以下の人が仮に2000万人だったら、
貧困率は2000万÷1億2000万で16.6となる。
所得には、税金や社会保障負担がかかる前と後があるので「再配分前」と
「再配分後」では数字が異なってくる。再配分後に貧困率が大きく減っているとするな
ら、社会の再配分機能がうまく言っていると見ることもできる。
「日本の(再配分前の)貧困率は、1985年段階では12.5%だった。
これは当時のOECD主要国の間では圧倒的に低い数字である。
中略
ところがそれから20年たった2005年には、日本の再配分前の貧困率は
26.9%に跳ね上がった。わずか20年で貧困者の割合が倍以上になった
ということである。」
「再配分後の比較は、1985年が12.0。 2005年が14・9とそれほど
変わっていないように見えるが、再配分の前後でヨーロッパの諸国が
だいたい一桁台と大幅な貧困率の低下を実現している。以下の表を
見る限り、再配分後の貧困率の高いのは日本とアメリカしかない。」
「あなたは、気づいていないかもしれないがこの日本は、4世帯に1世帯が
貧困に分類される国なのである。」
主要先進国の貧困率比較
1985年 2005年
再配分前 再配分後 再配分前 再配分後
日本 12.5 12.0 26.9 14.9
アメリカ 25.6 17.9 26.3 17.1
フランス 35.8 8.3 30.7 7.1
ドイツ 26.9 6.3 33.6 11.0
イギリス ーー ーー 26.3 8.3
スェーデン 26.1 3.3 26.7 5.3
ノルウェー 18.7 6.4 24.0 6.8
デンマーク 20.1 6.0 23.6 5.3
(2) 「税制改革、以下にあるべきか」 (以下は次回以後掲載予定)