国会通信 No.92

 【宮沢ドクトリン/日本人の外交下手】

1993/1/18 (マンデーレポート第92回の要旨)


1 日本の動き・世界の動き  ・再びイラクのクウェート侵略、米・英・仏の爆撃。   国連査察機受け入れで緊張状況 現在も続く。  ・宮沢首相のASEAN歴訪。「宮沢ドクトリン発表」(16ニチ、バンコク)。  ・20日には、クリントン大統領が就任。 2 宮沢ドクトリンの紹介  1 アジア太平洋地域の新たな役割   →更に強じんかつ豊かな地域にし世界の平和と繁栄に資することが    日本とASEAN協力の最も重要な使命である。  2 日本・ASEAN協力   (1)平和と安定への協力    ・多様性の尊重    ・冷戦後のアジア・太平洋地域の安全保障の構図について、     政治的対話を通じて長期的ビジョンを持つ必要。     これに日本も積極的に参加する。   (2)開かれた経済と活力ある発展への協力    @解放性の推進     ・ウルグアイラウンドの早期成功     ・APEC(アジア太平洋経済協力閣僚会議)の一層の充実    A経済発展の促進     ・日本の協力→投資や技術移転促進、インフラ充実、      サポーティング・インダストリー(すそ野産業)育成、人材養成     ・途上国相互間の協力強化に日本も協力     ・日本国内におけるインフレなき持続可能な成長   (3)人類共通の課題への取り組み     ・民主化と基本的人権の尊重・環境の保全と経済成長の両立  3 対インドシナ協力  ・「インドシナ総合開発フォーラム」の設置を提案。   この準備のための国際会議を今秋日本で開催したい。  4 日本の基本姿勢   @域内の政治・安全保障対話の促進   Aアジア・太平洋地域の経済の解放性の推進   B民主化・開発と環境の両立などの人類普遍の課題への共同したとり組み   CASEAN諸国の連携した取り組み   日本は二度と軍事大国になることはない。…   日本国民の日々の行動にも歴史の教訓が生かされるよう、   教育の充実に一層の意を用いたい。 3 船橋洋一氏の論文を下敷にして宮沢ドクトリンを検証してみると?  ★日本の外交下手の構造的欠陥  (1)見物人根性    世界を他人事、自分とは関係のない「外」の事としてみている。    外が変わって初めて日本が変わるという「適応型姿勢」。    国際環境や世界の潮流の変化を「与件」として対応するのではなく、    日本自らが主体である、「与件」であるとする発想が必要。    →石橋たん山「代案を出さずして批判するな」    →フランスの格言「提案なくして敬意なし」   ∴ドクトリンはもう少し突っ込んで欲しかった。    例えば、国連とアジア太平洋地域の安全保障との関連性、    アメリカとの関係などについてもっと具体的な提言があっても    よかったのではないか。  (2)日本社会の立身出世主義   ・世界で身内の競争を巻き散らす。   ・何をする(TO DO)より、何になる(TO BE)の方が問題。    「常任理事国になるのが問題なのではなく、何をするためになろう    としているのかが問題。」   ∴評価できる。    「まずテーブル作りから」という程度だが。  (3)ソロバンのみで理念なし。   ∴人権、民主化、開発と環境の両立、などの言葉、    シンボルのられつはなされているが?  (4)自己中心主義的発想   →自国の利害と相手国の利害を瞬間的に感じとる態度が必要。 これからの新しい国際システムに対する日本のかかわり方   @「強国である」との過信の基に、偏狭なアジア主義に陥ってはならない。   A日米、アジア・太平洋の安全保障の装置をもう少し国連と    つなげていく必要がある。   B自分の理念、ビジョン、改革案をみんなにわかる言葉で書いてみよう。   ∴アジア主義がいたづらな「大国主義」に陥ってはならない。