国会通信 号外 パリ通信 


 

パリ通信  10月13日午前1時(東京時間)  

 

● 皆さん、こんにちは。

昨日パリから帰ってきました。

2泊4日の強行軍でしたし、

現地では、平行線ではありましたが

核問題についての緊迫した理論闘争を展開し

おおいに消耗して帰ってきました。

そんなわけで昨日はキーボードに向かう事が出来ず、

本日になったことをおわびします。

 

● 私や田中さんが主張したことの要旨。

 

1 仏の核実験強行は必ず「核拡散」を誘発する。

2 仏の行動はNPT体制を破壊しかねない。

3 仏が先頭に立って核廃絶に向けた新たなプログラムを用意すべきだ。

4 仏は「核の抑止力」理論を乗り越える、新しい平和のシステムを模索すべきだ。

 

* 自民社会は、環境的観点や、唯一の被爆国としての国民感情を訴えました。

 さきがけは、平和のための新たなシステム作りを中心に訴えました。

 

● なぜ、核実験強行が「核拡散」を誘発し、NPT体制を崩壊に導くのか?

 

1 NPT体制は「核を保有する国」と「持たざる国」を峻別した。

2 非保有国のなかには、自国防衛の手段としてコストの安い核武装を潜在的に

 考えている国が少なくはない。また、自国の政治力や経済力等の脆弱さを核で

 補強しようと考えている国も少なからずある。

3 これらの非保有国の潜在的な核武装願望を抑えて、全体的に核廃絶のプログラム 

 を考えるのが、これからの世界平和のために最重要な課題である。

4 この課題に答えようとする一つの提案がNPT条約だが、上記の潜在的

 核武装願望を抑え、今後も核を持たずに我慢することが出来るのは保有国が

 核軍縮してくれると期待しているからである。

5 これに対して、保有国が核実験を続行することは、核兵器の精度や

 核戦略実行の際のシミュレーションを確実にすること以外のなにものでもない。

6 これはすなわち、核保有国が未来永劫核兵器を独占的に持ち続けることの

 高らかな意思表示である。

7 このことは、結果として核軍縮の期待を裏切り、非保有国が核武装する事を

 助長することに間違いなく繋がっていく。

8 結論として、フランスの核実験再開は必ずや核拡散を誘発する。

 だから即刻核実験は中止するべきである。 

 

 

● さて、本日私たちが面会したのは以下の4名です。

率直かつ、緊迫したやりとりを行いました。

 

結果は残念ながら平行線でしたが、与党三党が今回核実験

に反対していること(各党のニュアンスに多少?差はあり

ますが)の真摯な意図は幾ばくかでも伝わったと思います。

 

時間の関係で詳細をご紹介できないのが残念です。

 

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1 ピエール・ルルーシュ下院議員(共和国連合RPR国防担当総務)

  ルセ・ルアール下院議員    (共和国連合・仏日友好議連会長) 

  場所:下院議員会館 時間:10/10 AM10:00から11:15

 

会見内容

1)・「フランスの核実験の中止を求める申し入れ」(後掲1)

   について千葉座長が説明。

 ・「各党の申入書」を各座長が手交。(さきがけ分 後掲2)

 

2) ルルーシュ氏が「申し入れ」についてコメント

・ 自分は7年前から国際問題についてのシラク大統領の顧問である。

・ シラクはにほんの本当の友人であり、この問題についての日

 本国の反対の動きを過小評価や、傲慢に見ているのではない。

・ ただ、フランスの今回の核実験は核実験を終わらせ、軍縮を

 するために必要な実験である。来年に予定されているCTBT(核 

 実験禁止条約)についてももちろん参加し、さらに小規模核実

 験は除外するなどの留保条件をつけないこと(ゼロオプショ

 ン)を提案している点を評価してもらいたい。  

・ 今回の核実験はCTBT締結後は実験をやれなくなるために、

 今後必要なデータを採取しておくためのものであり、理解をし

 てもらいたい。

・ 現役大蔵大臣のデモ参加はショックであった。 

 

3) 質疑

田中秀征)友好的日仏関係を続けるためにも実験は止めていただ

きたい。いまや日本人の9割以上がフランスの核実験に反対して

おり、日本の反仏感情は高まっている。友人のいやがることは止

めていただきたい。

 

簗瀬進)核実験を続行することは核の拡散に必ず結びつく。核の

抑止力による平和ではない、友情による平和のシステムをフラン

スは世界をリードして造ってもらいたい。

その他

 

4) ルアール氏

・わが国にいろんな反対意見が寄せられたが、そのうち日本が

もっとも真摯な申し入れだと思う。日本の立場についても理解

と同情を感じるが、フランスの立場も理解してもらいたい。

(他はルルーシュ氏と同趣旨)。

 

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2 ペリカール下院議員     (RPR下院議員団長)

 場所:国民議会内会議室  時間:10/10 PM4:30からPM5:30

1) 日本側抗議内容説明。

 

2) ペリカール氏発言内容

・ 原爆投下と核実験は異なる。同一視する事はおかしい。

・ 生態系破壊などはあり得ない。科学者の報告もそれを認めて

 いる。

・ 来年はCTBTに加入することになっている。

・ 国際世論は、日本の思っている方向とは異なるし、フランス

 政府は世論の動向に左右されない。

・核抑止力は平和に繋がるものと確信している。

・シラクには実験を継続するように進言する。

 

3) 質疑の中の簗瀬発言

・ NPT体制は「核を保有する国」と「持たざる国」を峻別した。

非保有国が今後も持たずに我慢することが出来るのは保有国が

核軍縮してくれると期待しているからである。従って保有国が

核実験を続行することは、核軍縮の期待を裏切り、非保有国が

核武装する事を助長することに絶対に繋がる。フランスの核実

験再開は必ずや以上の意味で核拡散を生み出す。だから三回目

以降の核実験は中止するべきである。 

 

4) ペリカール

・ 核を持つかどうかは、それぞれの国が自らの主権において

判断すべきこと。フランスとは関係がないことである。

 

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3 モンテスキュー下院議員(UDF所属 下院外交委員会副委員長) 

  場所:下院議員会館 時間:10/10 PM5:45から6:30

 

1) モンテスキュー氏発言内容

・ 環境問題については各種委員会でも影響がない旨の判断が

 されていて問題はない。

・ 日本はアメリカの核の傘の下で自国の安全を守っているはず。

 それならフランスが新たにEUにさす核の傘の準備をするのを

 認めて欲しい。

・ フランスは攻撃的な意味で核を持とうとしているのではない。

 南や東から来るEUに対する脅威避けるために核実験をして

 いるに過ぎない。

・ CTBTにも「小規模核実験はのぞく」等の留保をつけずに

 参加しようとしている。

 

2) 質疑

 

田中秀征)・「核の非保有国」が「核の傘」に入ることと、

「核保有」を同じレベルで論じることは出来ない。

「核の傘」に入っていることを理由に核実験反対を言う資格

がないとする論理は、結果として非保有国が自前の核の傘を

持つことを容認する論理である。言葉を換えれば核拡散を認

める論理である。これはNPT体制の本質に矛盾する論理で

ある。

 

簗瀬 進)・EUに対する脅威を根拠に核実験を認めるのは、

フランス以外の全ての国が、その国に対する脅威の存在を理

由に核武装する根拠にされてしまう。米ソという巨大な核の

傘が徐々にすぼまろうとしている現在、世界には新たな核の

傘の隙間がたくさんできようとしている。フランスの核実験

再開は、核の隙間に小さな核の傘がたくさん現れることを助

長するに違いない。

 

3) モンテスキュー

論理的な鋭い指摘だが、世界の現実は理想では対処できない。

 

 

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     フランスの核実験中止を求める申し入れ

                       自由民主党

                       日本社会党

                       新党さきがけ

 

日本の与党三党は、わが国が広島・長崎への原爆投下を経験した唯一の

被爆国であることにかんがみ、あらゆる国の核実験に反対している。

 

フランスが核実験の再開を決定し、二度に渡る核実験を行ったことは、

それがいかなる理由に基づこうとも、いかなる条件が付されていようとも、

地球環境と生体系を破壊し、人類の生存をも脅かすものとして憂慮する

ものである。さらに、この核実験は、核保有国の核実験の自制を求めている

国際世論に逆行し、全面核実験禁止条約交渉に悪影響を及ぼしかねないと

考える。

 

日本の与党三党は、核兵器廃絶への不断の努力を行うことを誓い、フランス

政府が核実験再開決定を撤回し、核実験を中止するよう期待する。 

 

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2 

        貴国の核実験に対する抗議

 

国際世論を無視した貴国の二度に渡る核実験に強く抗議する。核実験は

地球環境と生態系を破壊し、人類の生存をも脅かす行為である。

核兵器保有国が国防上の理由から、核兵器保有を正当化し、実験を行う

ことはもはや許されるべきではない。わが党は核保有国こそが核軍縮、

そして核兵器廃絶の先頭に立つべきであると考える。

貴国が国際世論に真摯に耳を傾け、将来の日仏友好発展のためにも再び

核実験を行わないよう強く求める。

             1955年10月

                   新党さきがけ

                   代表    武村 正義