パリ通信 10月14日午前6時(東京時間)
● 皆さん、こんにちは。
1昨日パリから帰ってきました。
以下は11日に会った人たちとの面談記録です。
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1 デュ・リュアール上院議員(上院仏日友好議連会長)
場所:フランス上院内の喫茶室 時間:10/11 AM9:00から10:00
* アポが同じ午前9時に重なってしまったため、
日本議員団は二手に分かれ、団長組(千葉、水野、田中)は
ゴドフラン対外協力大臣と会見。
井上、五島、簗瀬は上記のリュアール氏に会見。
●リユアール氏の発言内容
1) 核実験はミッテラン政権時代に予定した一連のものが完結していないために
行う必要があるものである。
2) 核抑止力は必要なものであり、抑止力の信頼性について
は実験で確認しなければならない。
3) 冷戦が終わったとは言え、旧ソ連邦の状況には心配な点がある。
さらに、(旧ソ連内の)マフィアが核物質をイスラム原理主義者に
売却したとの情報が流れている。
4) イラン、イラク、リビアについては核を背景にフランスに脅威を
しかけてきやしないか。
これらの国の脅威からフランスを守る必要がある。
5) フランスは世界で最初に原子力を平和利用した国である。また
日本の核廃棄物の処理についてもフランス内のアーグにおいて実施
しているところである。このように核を平和的に利用しているフランスを
信じてもらいたい。
6) シラク大統領のやり方はあまり賢明とは言えないのでは。
広島、長崎の記念日の前に発表したのは騒ぎをよけい大きくしてしまった。
実施の1日前にでも発表していれば住民や
グリーンピースお反発も招かなかっただろう。
7) 核実験再開についての大平洋地域の反発はショックだった。
中国は、ムルロアよりももっと遠いところにある。
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2 ジャン・デビッド・レビッド大統領外交顧問
場所:エリゼ宮 内 応接室 時間:10/11 PM11:30からPM12:30
● レビッド氏発言内容
(1) シラク大統領から、「大統領の名」においてお迎えするよう言われてきました。
(2) 以下に伝えるのは大統領からの直接のメッセージである。
1) フランス以外にも核保有国があるが、フランスだけで核の保有を
諦めることは出来ない。
2) ソ連は1万2000発の核を保有している国だが、日仏とも
ソ連の近くにある国であり、ロシアの不安定さや不確実さは即座に
世界秩序を揺り動かす大変な道になるでしょう。また中国は依然として
核実験を続け、北朝鮮のように保有を望んでいる国すら存在している。
3) 核を廃棄することは、フランス政府としてフランス国民に対する
責任を欠いたものと言わざるを得ない。
4) 核廃棄は、核保有国の全ての同意が必要である。
5) フランスは真の軍縮に向けて努力を続けていく。
6) CTBT(包括的核実験停止条約)の締結についても
フランスは積極的に努力していく。ゼロオプションについては、
フランスが先んじて賛成したので、米英はフランスに追随する結果となった。
今後はCTBTの来年度早期締結を目指して、中国、ロシアに対しても説得し
ていかねばならない。
7) ミッテランが計画しそして中断した核兵器の実験は8回であったが、
・核兵器の確実性チエックのための実験
・シミュレーションに必要なデータ収集をするに必要な核実験。
この二つの内容が入れば充分なので、予定回数前に実験を終了
させることもあり得る。
8) CTBTの交渉継続は必要だが、CTBT締結の前にどうしても
やっておかねければならない実験があり、シラク大統領としては
苦しい決断であった。
9) 8回と言ったが、7回と言うこともあり得る。潜水艦に装備するための
核の実験と、シミュレーションのための実験のデータが集まり次第、
核実験は止めることもあり得る。
10) 環境については細心の注意を払ったし各国の調査団からも
お墨付きをもらっている。実験終了後は速やかにIAEAの最高の
専門官を指名し、細かくチエックしてもらってもよい。
● 質疑
田中)・日仏関係は将来ともに重要である。だからこそ日本人の
90%が反対し強い怒りを覚えている核実験を中止して欲しい。
・ ミッテラン時代とは違い冷戦が終わって核をめぐる環境は間違いなく
変わった。NPTの延長からCTBTの締結の流れは大変好ましい。従って
この時期の実験再開はこの望ましい流れに悪影響を及ぼす。
レビット) 可能ならば停止したい。しかし現実はそうではない。
・米ロはすでにフランスの10倍以上の実験を行っている。
充分なノウハウの蓄積がある。
・フランスも数カ月したら間違いなくそのレベルに達することができる。
もしいまやっておかないと10年20年後にフランスの
核抑止力は崩壊する危険がある。
・大統領は国民を守る責任がある。この決定が不人気であることは
大統領自身よく分かっている。
しかし元首として責任を果たさなければならない。
・NPT体制は核保有国と非保有国を分け、非保有国は永久に核を
持たないこととなった。しかし、保有国の中にも2種類あると言える。
実験をやる必要がないほどのデータを持っている米、ロ、そして米で実験を
やっている英と、仏、中である。
・フランスが中国の悪い例になっていると言うが、それは違う。
中国は中国として自身が決めたことである。
簗瀬)まず前提の質問をしたい。
フランスは長期的に考えて核廃絶の意思を持っているのか。
核を人類にとって悪と考え、遠い将来に渡って少しでも廃絶の方向を
進もうとするなら、保有国が核廃絶の意思を示すことしか
方法はないのではないか。
レビット)フランスの核は他の保有国と比較して限られたものである。
フランスにとっては抑止のためには少量の核兵器があれば十分である。
そしてこのような最低限の核兵器を一方的に廃棄することは出来ない。
旧ソ連の情勢は不安定である。世界で軍縮の流れが出来たら同調したい。
簗瀬)保有国の中でもフランスは米ロに対して実験データの蓄積等の点で
劣っている、その遅れを取り戻し追いつきたいとして実験を行うとの
説明であるが、フランスの姿勢は結局の所、核のレベルを先進国に
追いつこうとする以外の何者でもない。
そんな姿勢を核保有国がとり続けること自体核廃絶の道のりを
遠くしているのではないか。
レビット)CTBT締結は核軍縮への大きな進展である。今は
変動の時期。軍縮の展望が開けたら、フランスも同調する。
簗瀬)フランスが率先して、核の抑止力に変わる、友愛を前提にした
新しい平和のシステムがつくれないものか。
レビット)お互いに説得できなかったことは認める。これからの日仏の
発展をシラク大統領も望んでいる。また、フランスは引き続き日本の
安全保障理事国入りを支持している。
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3 フック社会党国際局長
場所:社会党本部2階会議室 時間:10/11 PM3:20から4:00
●フック氏発言内容
1) ミッテランは1992年に核実験の中止を決定した。
その理由を環境派への人気取りだと言う人もあるが
次の選挙で敗北することは当然予想された状況下での決断だったので
単なる人気取りの中止決定でなかったことは明白である。
2) ミッテランの中止決定は、まさにソ連の解体という歴史的事実を
見据えてのことである。
3) 今週土曜日の社会党大会でジョスパン氏が第一書記に選任される
予定だが、彼は核実験再開反対を公約してこの前の大統領選を戦った。
この公約はもちろん正しいものである。
なぜなら、
・まず現在フランスの保有している核兵器で二〇年は十分に保つ。
・NPT体制の無期限延長に嫌々ながら賛成した国に対し、フランスの
核実験再開はよくないシグナルを送ることになるからである。
4) ただ、地下核実験の環境への悪影響は心配するほどのものではない
と思う。
5) 今回の核実験再開は国際世論上のフランスのイメージを著しく
損なっている。また、シラク自身実験の再開についてEUの首脳に
何の相談もしていない。核実験は停止したほうがよい。
6) フランス社会党が中心になって核実験反対のでもを行ったところであり、
国民世論の60〜66%が実験反対である。
7) 今回の実験は計八回が予定されているが、4回乃至5回で止まるよう
運動する。国際、国内の圧力がかかれば、そうすることも不可能ではない。
● 質疑
田中) 92年のミッテランの決断は歴史の認識から見て正しかった。
1960年ドゴールはフランス独自の核抑止力を持つ政策を打ち立てた。
これは冷戦構造の中で自由「陣営」の強化に役立つものとして、
我々はこれを認めた。
しかし、冷戦構造が消滅した今、フランスの核は「陣営の核」
はなく「自国の核」、「自分の国を守る核」でしかなくなった。
この変質を理解しなければならない。そして「自国の核」を今後
長期的に保有し続けようとすることは、他の「非保有国」であり
「潜在的に核武装願望を持つ」多くの国に対し、核武装の強い
インセンティブを与える結果になることも知るべきである。
すなわち核実験は核拡散に必然的に連携することになると考えるがどうか。
フック) その通りだと思う。
ただし、以下の四点は言っておきたい。
・フランスのみに一方的な核軍縮には反対である。
・原子力の平和利用は必要である。
・核実験再開が核拡散に繋がるとの指摘は正しい。
NPT体制自体を危うくすることになる。
・不買運動はむしろ逆効果。外国のボイコットはむしろ大統領支持者を
増やしてしまうだろう。