号外 タヒチ通信 No.4


 

タヒチ通信 NO4  (発信地 ハワイ)

 

今回は昨日の抗議集会の模様をお伝えします。

 

抗議集会は、FAAA市の運動公園内にある

集会場で行われました。

 

建物の造りはトタン屋根、鉄骨作り、の吹き抜け式で

両側の2階席には見物人の座る簡単なベンチが15列程あり、

全体の印象は、郷里宇都宮の中央卸売市場の競り売り場のような

感じ。

 

正面には、ムルロア環礁におけるフランスの過去の核実験実施個所を

詳細に示した大きな航空写真を拡大したような地図が掲げられており、

また参加団体の各自のアピールの垂れ幕が壁に掲げられています。

 

そして、主催者のFAAA市長や、声の大きな通訳、そして主な発言者が

出席者と向かい合って座っています。

 

集会は午後4時から始まりました。

午前中の晴天は、ときどき雨混じりの曇天に変わっていましたが、

建物は報道陣のカメラと、聴衆の熱気でむんむんする暑さでした。

 

私は、ホテルからの発信が困難を究め、やっと発信できてから

会場に到着したので、会議の開始には間にあえませんでした。

午後5時ころ会場に到着してまもなく武村さんが特別ゲストとして

スピーチを始めました。

 

以下に武村さんのスピーチの前文を紹介します。

 

 

●   ムルロア メッセージ

 

世界からお集まりの皆さん、私は本日、フランスの核実験に抗議するために、

ポール・ゴーギャンが愛し、サマセット・モームが小説に描いた南太平洋の

美しいタヒチにやって参りました。

 

青い空、澄んだ空気、生い茂る植物。この美しい自然があるからこそ、

人類は生かされていると、改めて思い知りました。しかし、今から50年後

百年後も、人間はここに立ったとき、この美しさを実感できるでしょうか。

 

今ここに集まった私たちが感得している気持ちと同じものが共有しあうことが

出来るでしょうか。私は是非そうあって欲しいとあえて思いたいのですが

それはきっと楽観的に過ぎることでしょう。

 

今すでに地球上のあらゆる自然が危機に瀕しているのです。なぜなら、人類は

核兵器を開発したことによって、この美しい自然に対し、実は50年前から

環境破壊という名の戦争を開始していたからです。

 

この目に見えにくい戦争のおかげで、何十億年もかけて自然が作りあげた環境を、

人類はわずか50年の間に大きく傷つけてしまいました。

 

 

核の恐ろしさは、広島、長崎の例を持ち出すまでもなく、その非人道的な

無差別大量殺戮性にあることは言うまでもありません。

 

それに加えてより深刻なことは、今生きている人類や自然だけでなく、

我々の子孫にも我々をとりまく魚や鳥や動物たちの子孫にまで核汚染は

広まっていく事実です。

 

核を持って以来自然そのものも被爆者になってしまいました。

 

自然を守ろう、美しい環境を守ろう、という言い方は正しくありません。

むしろ我々人類こそ自然や環境によって守られているのです。

 

私たちが鳥や魚を守るのでも、私たちが澄んだ水やおいしい空気を

守るのでもありません。鳥が飛び、魚が水を泳ぎ、澄んだ空気と

おいしい水があるからこそ、人類は生きていけるのです。

 

すなわち、我々は自然によって守られているのです。

 

 

私が、フランスの今回のムルロアの核実験に反対するのは、自然という

人類の産みの親を傷つけ、その結果、我々の子孫にまで害をもたらすことに

なるからなのです。同じことは中国の核実験にも言えます。

 

フランスはヨーロッパにおいて、自由・平等・博愛という、人類の財産とも

言うべき理念を、どこよりも早く明言し、これを人類の普遍的理念として

世界に伝えました。世界はこのようなフランスから多くのものを学びました。

 

また中国はどこの国よりも早く、文明を起こし、世界に影響を与えてきました。

フランスと中国という世界を代表する文化文明を作り上げた国々がいまだに、

核に頼ることに、私は核時代の政治家の一人として深い失望を持っています。

 

科学技術の進歩により世界は狭く小さくなり、世界の国々はボーダーレスが進み

相互依存関係はさらに進化されるでしょう。そのようなボーダーレス時代に、

核汚染までボーダーレスにさせてはいけないはずです。

 

核汚染は国境を軽々と越えるばかりか、時間をも越えて後生の人類と自然に

災難をもたらすのです。

 

私は政治家になって以来、人間の文明の行き過ぎに危機感をいだき、数々の

環境政策を提言し、実行してまいりました。今回のフランスや中国の核実験に

対し強く抗議するのは、核実験という名の自然に対する戦争行為を止めさせ

なければならないという気持ちからであります。

 

 

人類の生み出した科学技術は、これからもあらゆるものを作り出し、人類の

幸福に役立つでしょうが、科学が作れないものは、自然であります。神にしか

作れない自然を人間が破壊することは許されません。

 

核実験という名の自然環境に対する戦争を地上から根絶させることこそ、

現代に生きている、あらゆる国の政治家の使命だと、私は考え、

今回のフランスの核実験に反対するため皆様とともに抗議運動に参加を

決めた次第です。

 

反対や抗議の声も上げられずに、人類を守っている自然環境に対する

核実験と言う名の戦争をストップしよう。これが私のメッセージであります。

 

●武村さんは汗びっしょりになって、このメッセージを読み上げました。

「今日は激しさゆえにかえって静められた怒りを、皆様に伝えたいと思います。」

との出だし通り、とつとつとしたスピーチ、受けをねらった芝居気の全く感じられない

スピーチでしたが、会場の多くの共感と感動を呼んだように感じられました。

 

以上のスピーチは英語に訳されて、会場に伝えられました。

タヒチの住民のためにフランス語の通訳を用意しておけば

もっと感動は深まったかもしれません。

 

以上        北京原人 こと 衆議院議員 簗瀬 進