タヒチ通信 NO5 (発信地 ハワイ)
「平和のための新戦略」を
● タヒチで行われる核実験反対抗議行動に参加しながら
現在も、さらにこれからも考え続けていかねばならない
ことがある。それは、、、、
核を生み出した人類とは一体なんなのか。
人類の絶滅という最終の犠牲によってしか購えない平和とは
いったいなんのか。
自らを死の断崖に追いつめてしか生存を守れないとしたら、
人間とはなんと愚かな、悲しく、寂しい種なのか。
と言うことである。
● 核はそれ自体悪であることは万人が認めるところである。
核の無意味さを説き、核廃絶それ自体に全力を挙げることは
当然であり、その努力は今後一層強化していかねばならない。
核廃絶そして通常兵器の輸出入規制をより強化していくことは
当然である。
しかし、それだけで充分であろうか。
● 私は「核の抑止力」理論に変わるべき
新たな安全保障のコンセプトを考えない限り
核の廃絶は不可能に近いと考える。
なぜなら、核の抑止力理論自体が実は人間の悲しい一面の真実が
生み出した理論であり、これに変わるコンセプトが提示されない
限り、人間の悪魔の本性が変わらない限り人類とともに生き続ける
理論だからである。
核の平和を肯定する人たちは、実は長い人類の歴史が、
不断に続く相互不信の戦争の歴史であったことを、
冷厳に認識しているからである。
現実に核を持ち、核の抑止力を信じている国々が現に
存在するのも悲しいが厳しい現実である。
従って、重要なことは、
「核の抑止力による平和」と言うコンセプトを乗り越え得る、
新たなそして実効性のある安全保障ビジョンを構想し、
かつそれを現実化するシステムを構築していくことである。
● 核の抑止力は、
「相手が受け入れることの出来ないほどの、
有効な反撃が行われると言う恐怖心を相手に起こさせ、
相手の敵対行動を防ぐ措置」と定義される。
(米統合参謀本部 軍事用語集 1979年版)
● 核の抑止を成立させるための条件は3つあると言われている。
1 能力 :敵に、我々がその行動をとれる能力があると納得させること。
2 コスト:核使用により得る利益よりも、報復による損害(コスト)の
ほうが大きいことを知らしめること。
3 意思 :われわれは主張したとおりに行動する意思を持っていること。
あるいは、意思があると敵に信じさせること。
● しかし、このような核の抑止力理論には安全保障の見地から見ても
多くの矛盾と問題点があるのも明らかである。
1 「恐怖心」は定量化できない。
どこまで準備したら充分なのか分からない。
当然、核拡大競争に向かっていく危険な萌芽をいつも持っている。
いわば、終着点が見えない戦略論である。
2 核兵器はよく「使われない兵器」と言われたりする。すなわち、
核兵器は戦争の抑止のための兵器であって現実に使用する兵器ではない
などと言われるが、しかし他方現実に使用できなければ核抑止を強化することは
不可能である。これは大きな矛盾である。
3 「使われない兵器」を危機管理を前提に保持しておくことは
大変社会経済的に高いコストがかかることを意味している。
ソ連崩壊の大きな原因の一つともなった。
4 国民のコスト感覚を鈍らせ、あるいは眼をそらさせるために
常に仮装敵を作りだし、あるいは侵略の恐怖感を与え続ける
マインドコントロールが必要になる。
● 人間は、天使と悪魔の両性を具有する生き物である。
核の抑止力理論は、性悪説にたったある意味では冷徹な
現実主義的戦略論である。言わば「善の哲学」と「悪の哲学」が
あるとすれば当然「悪の哲学」にたった戦略思想である。
● 今われわれがやらなければならないことは
「善の哲学」に立脚した戦略論を構築することである。
「恐怖心」と性悪説を背景にした戦略思想に対して
明瞭なアンチテーゼを提示することである。
「恐怖」ではなく、
「相互信頼」と「愛・友情」を背景にした平和のシステムを構想
しなければならない。
●「相互信頼」を昂進する平和のシステムとは、
戦争や紛争の根本的な原因である
貧困、人種的偏見、民族的偏見、宗教的偏見、文化的偏見等を
克服・除去するための国際的なバックアップシステムを構築することが重要である。
● いまこのシステムの細部について言及する準備は
まだ出来てはいないが、今後もっと体系的に考えていきたい。
まずは、国連の機能のなかで、「経済社会理事会」を改革強化し
貧困こそ平和の最大の敵であることを、もう一度認識すべきである。
● 困難な通信環境、未熟な通信技術のもとで
ニュージーランド、タヒチ、ハワイと発信を続けてきましたが、
この辺で最終回とさせて頂きます。
留守中、多くの激励メールを寄せてくれた皆さん(現在23通)、
あるいは会議室にRESをつけてくれた皆さん、
本当に有り難うございます。
残念ながら、発信することに手いっぱいで全て未読のままです。
ゆっくりと後で読ませていただくことをお約束して、
お別れしたいと思います。
さようなら。