国会通信 No.850
【「抑止力」について、具体的、緻密な議論を】
2010/2/8 (マンデーレポート850回の要旨)
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【1】「抑止力」について、具体的・緻密な議論が必要。
【2】96年民主党の「常時駐留なき安保」論
【3】米軍関係者による海兵隊の沖縄撤退論
【4】先週の主な活動
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【1】「抑止力」について、具体的・緻密な議論が必要。
●沖縄の普天間基地の問題に関連して、96年の旧民主党を結党する時点で、基本政策と
して提起されていた「常時駐留なき安保」の考え方が、話題になっています。そのとき
から、13年の月日が流れ、外交や安全保障の環境は変化していますが、問題の本質は
変わってはいないと考えます。そこで、今回は改めて「常時駐留なき安保」の考え方を
紹介し、問題の本質に迫ってみたいと考えます。
●さて、自民党を中心とした旧政権の側は、「抑止力」をなんとしても維持しなければ
ならない、といった理由で鳩山政権の対応を批判します。しかし、「抑止力」とはなに
かといった本質論があまり語られずに、きわめて大雑把な議論しか行われていない、そ
んな印象を持っているのは私だけではないと思います。
●肝心の「抑止力」の具体的な内容や、「有事」の現実的な想定、普天間に駐留して
いる「アメリカ海兵隊」の軍事的な能力や戦略・戦術の科学的な分析などについて、か
みあった議論が行われているとはとても思えません。
●そこで、本質論にいたる深い議論を期待しつつ、96年民主党の基本政策とされた「
常時駐留なき安保」の原文を以下に掲載し、あわせてし、次に、この考え方を決定する
ヒントになった、米軍関係者の論文を二つほど、掲載させていただきます。
●このときから、すでに10数年の時間が経過しています。北朝鮮の核実験問題や、
中国の軍事的な肥大化、9・11事件以後のテロ対応など、あらたな安全保障上
の大きな環境変化もあり、96年当時の考え方が現時点でも通用するかどうかについては
、もちろん厳密に検証する必要があります。しかし、抑止力の内容について、さらに具
体的な議論を深める必要があることには変わりありません。
●私自身は、湾岸戦争以降の衛星サーベイランスやコンピューター統御などの飛躍的
な軍事イノベーション、アメリカ軍の海外展開能力の向上などを含めると、有事に対応
する軍事的なプレゼンスを、地理的に近いところに置いておくと言った、伝統的な「抑
止力」の考え方は、かなり変更する必要があると考えています。いずれにしても、「抑
止力」の具体的な内容について、冷静にして具体的かつ緻密な議論を行うべきだと思い
ます。
【2】96年民主党の「常時駐留なき安保」論
●96年民主党の結党時に0番から12番までの13本の基本政策を決定しました。
0番は歴史認識、そして1番目に「常時駐留なき安保」論が含まれた「国連改革と
地域的安全保障体制の確立」です。以下にその全文を掲載しましたので、参考に
していただきたいと思います。
(私のhpのトップページに、96年民主党の基本理念と基本政策を掲載しています。
ご参照ください。)
●96年当時と現在は上記のとおり、さまざまな環境の変化もありますが、沖縄の
普天間の問題を考える基本的な視点は、今も変わらないと思います。その考え方の
ポイントが、ここにあると思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(1) 国連改革と地域的安全保障体制の確立
日米関係を基軸としつつ、自立した外交政策を確立し、歴史的に深いつながりのある
アジア諸国と強い信頼関係、友好関係を構築することを外交・安全保障の基本とする。
アジアにおいては、多角的地域安全保障体制の構築をめざす。
このため、アセアン地域フォーラム(ARF)を積極的に充実・発展させ、
いわゆる極東有事を発生させない国際環境づくりにつとめる。
沖縄に過度に集中している米軍の施設・区域の整理、縮小に精力的に取り組む。
在日米軍基地の存在を永遠不変のものとかんがえるのではなく、国際情勢の変化に伴い、
「常時駐留なき安保」をも選択肢の一つとした平和の配当を追求していく。
その際、米軍の機能低下をカバーするため、日本国憲法の範囲内で、行いうる新たな役割を検討する。
国連を中心とする普遍的安全保障体制の確立を促すため、国連改革に率先して取り組む。
とりわけ、安保理の民主化とNGOとの連携を通じた「社会経済保障理事会」の設置をめざす。
また、軍縮、環境、人権、福祉、高度医療など非軍事面での、地球規模の国際貢献を積極的に推進する。
ODAについては量から質への転換をはかる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【3】米軍関係者による海兵隊の沖縄撤退論
●「旧民主党の結党された96年前後に、米軍の関係者から出された「海兵隊撤退論」
があれば、その資料をいただきたい。」先日、このような調査を国会図書館にお願いし
たら、以下の二つの資料が出てきました。
●最初は、米海軍協会刊の『プロシーディングズ』1994年8月号に掲載されたもので、
沖縄の海兵隊から帰任した直後の二人の海兵隊大尉のパイロット(ネン・カーンズ氏
スタントン・コーア氏)による論文です。二つめは、「サンディエゴ・ユニオン・トリ
ビューン」紙(1996年9月27日)に掲載されたV.Hクルーラク氏による「我々の海外プレ
ゼンスを考える」という論文です。同氏は、1964年から68年まで、現太平洋海兵隊の前
身である太平洋海兵艦隊総司令官を務めました。さらに、第31代米海兵隊総司令官C.C.
クルーラク大将の実父でもあります。
●この二つの論文の和訳についてはに、『核兵器・核実験モニター』45号 1997.5.15
および32号(1996.11.1)に掲載されています。ご興味のある方はぜひご参照ください
。両論文とも、米軍の一部には、沖縄の海兵隊の存在を、かなり柔軟に考える見方が存
在していたこと、さらに、抑止力のために沖縄海兵隊の存在を不可欠とする見方につい
ても、米軍内部においてすら、決して一枚板ではなかったことを示していると思います
。
●ただ、両論文とも掲載されたのは、94年と96年。今から10年以上前です。
現在までの、さまざまな環境変化を加味して、両論文の見解がいまでも通用するかどう
か、しっかりと検証する必要があることは言うまでもありません。「抑止力」と言う言
葉が、固定観念となって金縛りの思考麻痺にならないように、十分注意しなければなら
ないと思います。
● 海兵隊大尉ネン・C・カーンズ氏、同スタントン・S・コーア氏の論文。
(執筆当直前まで、6ヶ月間の沖縄第31海兵遠征部隊勤務。その後、両大尉とも第169
軽ヘリコプター海兵飛行中隊(カリフォルニア州ペンドルトン基地)で攻撃型ヘリコプタ
ーAH-1W(スーパー・コブラ)のパイロットでした。)
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
【出典】米海軍協会刊『プロシーディングズ』1994年8月号
【表題】「沖縄から去ろう(LEAVE OKINAWA)」
【要旨】
・沖縄は小さ過ぎて航空機の効果的な訓練はできない。
・海兵隊のジェット機は、本土の岩国基地から派遣されるのみであり、嘉手納基地から
飛ぶことを強いられる。
・ヘリコプターは、普天間海兵隊航空基地の窮屈な制限区域にたどり着くまでに極度の
人口密集地上空を飛ばなければならない。
・歩兵部隊は、沖縄の住人を怒らせないように、実弾射撃訓練を厳しく制限しなければ
ならないし、砲兵仕官は射爆場外への誤射を死ぬほど恐れながら生きている。
・第31海兵遠征部隊をホワイトビーチから展開させるのに、4隻の水陸両用即戦郡が佐
世保から3日間かけて航海してくることが必要である。
・加えて、何千人もの人間を、到着部隊を迎える設備の整っていない桟橋に移動させな
ければならない困難もある。
・海兵隊の沖縄への執着は、主として1945年の沖縄での激戦の勝利に根ざした感情的な
ものである。
・韓国と日本の防衛という任務には米陸軍のほうがより適している。
・海兵隊は、これまで通り緊急展開の役割に専心すべきである。
・われわれには、兵力構成の3分の1を無駄にするだけのお金や人員の余裕はない。
・われわれは、沖縄の海兵隊を米本土の海兵遠征旅団を充実させるために用いるべきで
ある。警戒任務は陸軍にさせよ。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
●V.Hクルーラク氏の論文
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
【出典】「サンディエゴ・ユニオン・トリビューン」紙(1996年9月27日付)
【表題】「世界は変わった。我々は、物資備蓄のため以外には沖縄を必要としていな
い」
【要旨】
・沖縄の米軍基地に関する現在進行中の日本政府との対話は、非常に大きな氷山の一角
にすぎない。世界は変わった。安全保障上、または経済上の強い理由がない限り、各国
は自分の領土に米軍が駐留することを望まない。
・いまや、ほかに選択肢がないので、我々は考え直さなければならなかった。そして、
こう結論づけた。コストと心痛をともなうような、巨大で複雑な外国領土の基地施設を
、実は我々は必要としていないのだと。
・しかしながら、我々が最低限必要なのは、安全で保護された船舶の停泊地と同盟国領
土上で軍需品を備蓄したり装備を補給することのできる権限である。それによって、我
々は有事に、空、海、あるいはその両方から補給品を受け取ることができる。
・米国にとっては認めがたいことだが、ヨーロッパ中心主義が、急に汎アジア的現実に
とって代わられているという事実がある。こんにち、マラッカ海峡の交通量はジブラル
タル海峡(注:地中海入り口)より多い。簡単にいえば、この地域は非常に重要で、その
重要性は高まっているのである。疑いなく、米国はそこにいなくてはならない。
・そうだとすると、大型米軍基地としての沖縄問題はどうすべきであろうか。先に述べ
たような最低限の能力を持っていれば、我々は、物資備蓄のため以外には沖縄を必要と
しない。沖縄を占領する際に5万人の犠牲者を出した事実にもかかわらず、沖縄はその
魅力を失った。その停泊地は貧弱であり、天候に左右される。
・増大する人口と行政の施策により、部隊の移動や訓練は制限されている。
もっといい場所がほかにあることは、間違いのない事実である。北部オーストラリアや
ベトナム南部海岸のカムラン湾の方が戦略的によい位置にある。そして、先に述べたよ
うな限定された使用についての権限を、かなり安いコストで両国から得ることができる
であろう。とにかく、ルールは変わった。我々はそれを認めたほうがよい。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
【4】 先週の主な活動
■2月1日(月)
08:00 第849回マンデーレポート
10:00 事務所打合せ
■2月2日(火)
09:30 議員総会
10:00 本会議
★政府4演説に対する代表質問。
13:30 日本児童・青少年演劇劇団協同組合から要望聴取。
14:15 予算調査室
★委員派遣(予算委員会としての視察)についての打ち合わせ。
■2月3日(水)
09:30 議員総会
10:00 本会議
★政府4演説に対する代表質問。
■2月5日(金)
18:30 おおぶ真一総合選対発足式
■2月6日(土)
15:30 栃木県農協労組中央委員会にて講演
18:00 連合栃木なんたい地協新春の集い
19:00 章友会新年会
■2月7日(日)
10:00 入野正明市貝町長を囲む新春の集い
18:00 全建総連栃木建労宇都宮支部新年会