国会通信 No.856

 【マニュフェスト成長・地域戦略研究会アドバイザー会議】

2010/4/12 (マンデーレポート856回の要旨)


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】第1回マニフェスト成長・地域戦略研究会アドバイザー会議。 【2】この国の企業戦略の「本質的な欠落」はなにか。    ー予算委員会における小川公述人(東京大学特任教授)の話ー 【3】先週の主な活動。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】第1回マニフェスト成長・地域戦略研究会アドバイザー会議。 ●7月の参議院選挙におけるマニフェストの再検討が始まりました。  国民生活全般は中野寛成さん、成長地域戦略は大畠章宏さん、  規制改革公務員改革は玄葉光一郎さんが、それぞれ会長として  取りまとめに入りました。 ●7日(水)、国会内でマニフェスト再検討のための成長・地域戦略研究会  のアドバイザー会議の第1回目が開催されました。大畠章宏会長、筒井  信孝事務局長、鹿野衆議院予算委員長、私などが出席し、金子勝さんなどの  学者の皆さんの話を聞きました。 ●先日、大畠さんから依頼があり、成長・地域戦略のアドバイザー  グループを作るので、参議院予算委員長として同グループの  メンバーになっていただきたい旨の話があり、快諾しました。 ●大畠さんとは、いまも民主党の知財政策推進議連の会長・  幹事長の間柄、また、かつて(00年6月)協力しあって  民主党の総合的な知的創造力推進政策を「はばたけ知的冒険者たち」  という提言をまとめたこともありました。そんなこともあって、  アドバイザーグループの一員となったわけです。 ●この日は、その第1回目の会合でした。私は、短時間でしたが、出席。  金子勝さんの話を聞きました。断片的でしたが、話のポイントを要約すると、  日本の企業は、個別製品ではきわめて、先端的で精巧な製品を作り出しながら、トータ  ルでは負けていく。こんな傾向を強めている、現在のわが国の企業の  現状のどこが問題なのか。そこがこれからのこの国の成長力を構想する際の  最大の問題点であると金子さんは指摘していました。 ●金子さんの指摘は、今週取り上げる石川参考人の公述内容(下記【2】参照)と共通  の問題意識に立ったものであることは言うまでもありません。 ●金子さんの話を聞き、次の日程もあって残念ながら会場を後にしましたが、  会場を離れつつ、金子さんの指摘の持つ重大な意味、そして、そのことに  答えを出せずにいる、自らへのもどかしさが、かなり長く続きました。  この日はこの国の産業政策の本質的な欠落。こんな重大な問題意識を、  出席者全員で共有できたことは間違いありませんでした。 【2】この国の企業戦略の「本質的な欠落」はなにか。 ー予算委員会における小川紘一公述人(東京大学特任教授)の話ー ●3月16日、参議院の予算委員会で行われた公聴会、榊原公述人の次に  登場した小川公述人の話は、とくに今後の日本の成長力、特に産業政策を  議論する際にポイントとなる重要な指摘が含まれていると感じました。  端的に言うと、現在のこの国の企業戦略に欠けているもっとも重要なポイントは  なにかということ、そのことが端的に語られたことでした。 ●小川紘一公述人は、現在、東京大学総括プロジェクト機構・知的資産経営・  総括寄付講座の特任教授ですが、明治大学大学院工学研究科卒業ののちに、  昭和48年に富士通研究所に入社、DVDや光ディスクの研究者あるいは技術者  として著名な方です。  (主な著書等)「DVDにみる日本企業の標準化事業戦略」(日本規格協会)  「光ディスク産業」(光文社文庫)  「光ディスク産業の競争と国際的協業モデル」(NTT出版)など ●公述内容の要約 1.苦戦する我が国のエレクトロニクス産業  日本の製造業は、GDPの約6割、研究開発投資の約9割を占める巨大産業であり  技術や特許を多く持っているが、いつの間にか国際的な企業レベルの競争には負けている。  この現象は、エレクトロニクス産業から始まり、ほかの産業にも同様の現象が見られる。  たとえば、パナソニックもソニーも、はじめは良かったが、今では韓国のサムソンに  は負けている状況である。  その背景は1980年代に欧米が産業構造を強制的に変えたこと、それに呼応してアジア諸  国が産業政策を変えていったことが影響。  例えば、アナログ携帯電話は年間3,300万台だったが、デジタルになると一瞬にして1  2億台の市場に成長。VTRは最大でも5,000万台だったが、DVDになり5億台へ。フ  ィルムカメラは70年の時間をかけ3,700万台の市場だったが、デジカメは一瞬にして1.3  億台へ。携帯電話のカメラモジュールは、2007年の段階で7億台だったが、現在は10億  台超。  このように、デジタル化や標準化により巨大な市場が急激に誕生してきた。  こうした中でも日本の特許は数多くあり技術も強い。液晶は、日本、韓国、台湾が  米国で登録した特許2.5万件のうち85%以上が日本の特許。これに対し、韓国は13%、  台湾は1〜2%にすぎない。  しかし、10〜15年前から、こうした日本の研究開発投資が競争力に寄与せず。  この点が、最大の問題であり、なぜそうなってしまったのかの原因を徹底的に解明する  必要がある。  個別的な特許では優位性を持ちながら、企業間の競争で勝てないのはなぜか。  これを、特定産業の問題ではなく構造的な問題としてとらえ、その原因を究明すること  が緊急の課題である。 2.欧米諸国の産業構造改革  1980年代の米国も日本と同じ状況。IBMは基礎研究で膨大な開発投資をしたが15万  人の人員削減へ。伝統的な「フルセット統合型」が崩れ、オープン化、分業化が進展。  その背景は、第1に石油危機で、長期インフレと大量失業の状況。第2に戦後、米国  は基礎研究に膨大な投資をしたが、70、80年代に日本やドイツに負け貿易摩擦に発展。  こうした中、81年に独禁法の大幅緩和、84年に国家共同研究法を制定。当時、米国の  独禁法は非常に厳しく、複数の企業が一緒に標準化や技術開発すれば、無条件に独禁法  違反。共同研究法により、米国の競争力強化になるのであれば独禁法違反としない一方、  プロセスと結果は全部オープン化とする。自動車や鉄鋼はオープン化しにくいが、  デジタルテクノロジーはやりやすく、自前主義から分業構造に転換。  欧州も80年からオープン型に切り替え。特徴の第1は、欧州だけでなく、ロシア、  中国、インドなど世界のイノベーションの成果を欧州に取り込む手段として、  様々なインセンティブ制度を付ける。  第2は、イノベーションの成果を世界に広げる手段として国際標準化を使う。  この代表例が携帯電話。基地局がないと携帯電話のシステムは機能しないが、標準化、  オープン化されているのは、携帯端末だけで、基地局は全くオープンにされず。  オープンにした端末は中国も作れるが、基地局の部分は欧州だけが握るという完璧な  分業構造。  その結果、欧州は、過去10年以上、中国市場で基地局のシェアが80〜90%以上と圧倒的。  一方、中国では携帯電話が何億台も作られるため、多くの雇用が生まれ経済成長。  そして携帯端末が増えれば、基地局を介して欧州が利益を得るウイン・ウインの仕組み。  (基地局は閉じて独占、端末は積極的にオープン)  (ウイン・ウインの分業構造) 3.アジア諸国に見る比較優位の産業政策  アジアでは欧米の分業構造に合わせた産業政策を採用。例えば、製造や組立てといった  「実ビジネス」に特化した優遇策を行い、研究開発、基礎研究は行わず。  半導体産業では1997〜2006年まで、余剰資金であるフリーキャッシュフローを見ると 、サムソンが約3,000〜3,500億円のプラス。台湾は2,000〜2,500億円のプラス。  ところが、日本の上位5社は2,000億円のマイナス。  DVDは基礎特許の90%以上を日本が保有。しかし、2007年では台湾が63%の  製造シェアである一方、日本は、インドと全く同じ12%に過ぎない。  こういう状況が、半導体やDVDだけではなく液晶などあらゆるところで発生。  韓国、台湾では、95、96年頃から、GDPにおける電機、電子機器分野の規模が10年  で約5倍の急上昇。デジタル化に伴う国際分業で、欧米とともに経済成長する構造。  研究開発投資と営業利益の関係では、自動車産業等では投資するほど利益が上がる  構造だが、国際分業化されているエレクトロニクス産業では、  製造拠点が海外に行き圧倒的に安く作るため、投資しても利益が出ない。  また、95年頃までは、日本企業の営業利益率は全ての産業が同じような変化。  しかし、その後、エレクトロニクス産業だけが低下。  デジタル化が進み、勝てない領域が急速に拡大。  最近では、太陽光発電パネルのシェアも10%台に低下。自動車も、電気自動車になれば  シェア低下は必至。  インフラ型の産業機械、環境、エネルギーでも世界中で標準化が拡大。 4.政策提言 (新成長戦略の研究投資を経済成長・雇用拡大へ)  政策への示唆は、第1に、デジカメ、自動車、部品材料、産業機械など日本の得意な  産業領域を集中強化する必要。デジカメは極めて少ない成功事例で、製品が丸ごとすり  合わせ型、ブラックボックス型。これらは日本の地方工場で製造してもグローバル市場  で勝てるため、研究開発投資が日本の雇用に寄与。  第2に、アジアの成長を日本の成長にリンクさせること。携帯電話では欧州諸国が  見事に取り込む。インテルも、アジアと連携し、アジアが活性化するほどインテルが利益  を得るという構造。こういう標準化ビジネスモデルや知財のマネジメントを行う必要。  第3に、製造段階で強力な優遇策による国内工場の誘致。例えば経済特区などで  アジアとイコールフッティングをしないと日本の雇用は守れず。  自動車用の蓄電池でサムソンがドイツのボッシュと合弁会社をつくり、  韓国の経済特区で製造開始。仮にサムソン・ボッシュ連合が日本と同じ  レベルのテクノロジーとなれば、日本は絶対に勝てない。  第4に、これらの優遇策が財政的に無理であれば、得意な領域を徹底して守ることや、  標準化ビジネスモデルや知財によりアジアの成長とリンクするような仕掛けが必要。  また、欧米、アジア諸国の競争力、産業政策を調査分析することも必要。  1980年代の欧米も日本の調査分析から始まった。 【3】先週の主な活動。 ■4月5日(月) 08:00 第855回マンデーレポート 15:00 民主党芸術・文化振興議連設立総会 ★いままで、民主党には文化政策全般を見通した議員連盟が存在していませんでした。  昨年は、政権交代に伴って、超党派の議員連盟であり、芸術文化振興基本法だどの多く  の文化関係法案を議員立法により推進してきた「音楽・文化推進議連(音議連)」の会  長は、柳沢伯夫前会長から中野寛成議員に代わりました。私自身も、音議連の事務局長  に新たに就任しましたが、このとき、  改めて、超党派の音議連に対応する民主党の議連が存在していなかったことに  気が付かされました。そこで、かねて、中野会長と相談しながら、民主党内の議連の準  備を進めていましたが、この日、ようやく立ち上がったわけです。  所属してくれた議員の数は、50名。そして民主党の芸・文議連の顧問として西岡武夫さ  ん、会長には中野寛成さん、私は幹事長、岡崎とみ子さんが事務局長として、スタート  することとなりました。  これから、音楽・演劇・映画・伝統芸能などさまざまなジャンル毎の小委員会を作り  ながら、各分野の緻密な振興政策の提言や予算活動などを展開していきたいと思っています。 18:00 民主党栃木県連幹事会 ■4月6日(火) 10:00 法務委員会 ★公訴時効の廃止・期間延長などの刑事訴訟法改正案について質疑。 18:30 田崎ひろゆき出陣式 ★益子町長選挙スタート。民主党推薦で出馬する田崎君の激励演説を行いました。 ■4月7日(水) 09:30 議員総会 10:00 本会議 12:30 故立谷専祐様弔問 15:00 企業訪問 17:30 マニフェスト成長・地域戦略研究会アドバイザー会議 ★(上記【1】参照) 18:30 予算懇談会 ■4月8日(木) 10:00 法務委員会 12:00 国対・委員長・会長会議 18:30 オーケストラ連盟の児玉会長や金山専務理事、下八川理事などの     皆さんと、ピアニスト中村ひろこ先生宅を訪問。日本の文化政策について、 懇談。 ■4月9日(金) 10:00 田崎ひろゆき応援・遊説 14:30 星一男応援・遊説 ■4月10日(土) 14:00 星一男応援遊説 ■4月11日(日) 07:30 フジテレビ「新報道2001」生出演 12:00 石井万吉を支援する会 簗瀬進を囲んでの懇親会 13:00 栃木県柔道連盟理事会・総会 15:00 菅直人副総理を県内関係団体との懇談会 16:00 参議院予算委員長やなせ進君を励ます会